銀座のお店が、枠を超えて協力し... 「もの繋ぎプロジェクト」がつくる可能性

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   新型コロナウイルスの感染拡大で各地の商店街が苦境に直面する中、東京・銀座で営業するさまざまな業態の店が協力し、互いの商品を交換しPRし合う「もの繋(つな)ぎプロジェクト」を展開している。

   老舗和菓子店の呼びかけでスタートし、ユニクロ東京や日産自動車など大手企業も参加、約100社が銀座をもり立てようとスクラムを組んでいる。

  • 銀座の街に活気は戻るか
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訪日外国人消え...苦境の銀座

   老舗の和菓子屋「木挽町(こびきちょう)よしや」の3代目、斉藤大地さんが「銀座の店が一丸となって、銀座ににぎわいを取り戻そう」と呼びかけ、4月から始めた。斉藤さんが仲介役となり、ある店の商品を別の店の商品と交換し、その店は次の店と同様に交換し......と連鎖的に繰り返していくというもの。

   第1回目は「よしや」の名物・どら焼きを和菓子店「銀座菊廼舎(きくのや)」の冨貴寄(ふきよせ)に交換。その後、銀座木村屋、無印良品銀座店、銀座松崎煎餅、銀座もとじ、空也、銀座ウエスト、鳩居堂、銀座タニザワ、シップス銀座店、日産自動車、シネスイッチ銀座、煉瓦亭など、地元のお店からナショナルチェーン、さらに世界的大企業までが、香水やバッグ、ワイシャツ、コチョウランなどさまざまな商品を次々に「物々交換」している。 預かった商品はどのように活用してもいいが、必ず斉藤さんがツイッター上で、「どことどこが交換した」と写真付きで紹介することで、銀座の連帯を発信する。

   ここ数年、訪日外国人(インバウンド)をはじめ大勢の観光客や買い物客でごった返していた銀座の風景はコロナ禍で一変している。事実上の国境封鎖で、インバウンドはほとんど姿を消してしまった。緊急事態宣言が解除された後の6月以降も、日本人客は徐々に戻ってきているものの、コロナ禍以前の状況には遠く及ばない。ある小売店は「来店する際は既に買いたいものを決めているお客さんが多く、急いで購入して早々に立ち去ってしまう」と話す。感染防止のため、のんびり買い物をする状況には戻っていない。各店の売り上げは当然伸びず、「前年同期の6~7割程度にとどまる」と肩を落とす店もある。厳しい状況から抜け出せず、やむを得ず閉店を決めたケースも出ている。

地元老舗と大手企業の交流の機会にも

   そんな銀座に元気を取り戻すきっかけを作ろうというのがプロジェクトの狙いだ。「単に商品を交換するのが目的ではなく、交換をきっかけにネットワークを強め、新しい一歩を作りたい」とある参加企業は説明する。

   当初は50回を想定していたが、参加したいというお店が相次いだため100回程度に増やした。その「殿(しんがり)」に予定されているユニクロ東京は、銀座の各店のロゴなどをデザインしたTシャツを製造して販売し、利益の一部を地域に寄付する計画だ。同じ銀座で商売をしていても、世界に通用する大手企業と歴史ある老舗企業との接点はそう多くはない。プロジェクトは商品の交換を通じて互いを知り合う機会を提供しており、今後、銀座という地域ぐるみでさまざまな活動が沸き起こる可能性もある。

   感染が再び拡大し、さまざまな企業には苦しい状況が続く。地域の輪によって歩を進めようという銀座の取り組みは注目を集めていきそうだ。

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