新型コロナウイルスの感染拡大に伴って国が非常事態宣言を発令していた時期と大部分が重なる2020年4~6月期には、「不要不急」の事業を展開する企業は業績に深刻な打撃を受けた。その典型とも言えるのが、国内で最も集客力があるテーマパーク「東京ディズニーリゾート」(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)だ。
TDRの主要施設である「東京ディズニーランド」と「東京ディズニーシー」は2月29日から6月30日まで臨時休園を余儀なくされた。ところが、ほとんど売り上げが立たなかった時期にもOLCの株価は年初来高値に迫るまで上昇する局面もあった。OLCの強みとは何なのだろうか。
4~6月期連結決算の内容は...
TDRは千葉県浦安市にある「ランド」「シー」と付随する直営ホテルなどから構成されており、OLCの業績のほとんどがTDRによるものだ。施設を維持するための固定費が大きく、売り上げが途切れたらおのずと赤字になる。2020年7月30日に発表された4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比95%減の61億円にすぎなかったため、本業の儲けを示す営業損益は156億円の赤字(前年同期は319億円の黒字)に。最終損益は248億円の赤字(前年同期は229億円の黒字)と大きく落ち込んだ。施設の休業に伴い、園内でアトラクションを運営したり、物販に携わったりするキャスト(準社員)には、休業補償を支払って休ませた。
2020年に入ってからのOLCの株価は、1月15日に1万6075円の年初来高値を更新した後、新型コロナウイルスの感染が拡大するに従って下落していき、3月13日には1万1250円の年初来安値をつけた。しかし、その後は上昇に転じて、6月11日には年初来高値に迫る1万5910円まで値上がり。この頃には東京都独自の警戒基準を緩和する動きがあり、TDRについても「営業再開が近いのではないか」との期待感が高まっていた。