外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(16)メディアの報道に今、必要なこととは

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   コロナ禍が広がって以降、テレビや新聞報道は、豪雨災害や戦争特集を例外として、新型コロナ一色に染まった。しかし関連情報があふれる一方で、肝腎の核心情報が、十分に届いているとは思えない。メディアは市民の情報ニーズに応えているのか。メディアの当事者や専門家と共に考える。

  •            (コラージュ:山井教雄)
               (コラージュ:山井教雄)
  •            (コラージュ:山井教雄)

報道機関としての四つの機能を果たしているか

   新型コロナが拡大し始めてから、新聞・テレビなど大手メディアやネットメディアは、連日のようにコロナの新規感染者数や死者数、政府や自治体の対応策や、その影響などを詳細に報じている。だがそれは、多くの場合、コロナ禍によって生じた「事象」の報告や「町の声」といった反応などの「関連」情報に留まる。それは押しなべて、メディア横断的に各社が流しているニュースで、どのメディアに接触しても得られる結果は横並びだ。

   それらと区別して、私が「核心情報」と呼ぶものは大きく言って四つある。

1 「いま直面している問題は何か」を、刻々と変わる情勢において、そのつど定義する情報

2 「いま、何をなすべきか」という選択肢を市民や自治体に示し、行動や判断の参考にしてもらう情報

3 政府の施策の成り立ちと効果の有無を批判的に検証する情報

4 専門家同士に議論の場を提供し、現時点での論点を整理し、問題の在りかを解明するための情報

   この四つは、それぞれ言論機関の1アジェンダ設定機能、2行動・判断指針の提示機能、3検証・調査報道機能、4言論フォーラム形成機能という行動態様を示している。

   一言でいえば、コロナ禍報道は今のところ、起きた事象の後追いをするのが手いっぱいで、こうした言論機関本来の機能は十分に果たしていないのではないか、というのが私自身の感想だ。

   この問題提起をどう受け止めるのか、真っ先に聞いてみたい方がいた。

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