同じ東京でも対応わかれる 歌舞伎町を抱える新宿は?
札幌市保健所は3月、感染者が発生したススキノのライブバーの店名を公表したが、それ以降は非公表を続けている。健康企画課の担当者が説明する。
「3月の事例は不特定多数の客が出入りする店で、感染経路がわからなかったため、利用客の協力を求めるために、お店の協力のもと公表しました。しかし店名の公表はどうしても風評被害の対象になりかねず、営業上の利益に影響することを考えると、慎重さが求められます。これまで札幌では感染者が出たのに対策を取らず営業を続けるといった悪質な店もないので、積極的に公表する予定はありません」
東京でも、練馬区が8月5日に、利用客と従業員3人の感染がわかったキャバクラの店名を公表。区がクラスターになる可能性が高いとして休業を要請したにもかかわらず、営業を続けたことから公表に踏み切ったという。
足立区も7月20日、区内のフィリピンパブ2店で従業員ら計22人のクラスターが発生したとして店名を公表した。利用客が東京以外の広範囲にわたる可能性があるとして、利用客の特定のために公表したという。
一方で、ホストクラブなどで集団感染が確認されている新宿区はこれまで店名を公表していない。クラスターが発生した劇場「新宿シアターモリエール」のケースでは、劇場が公式サイトで公表したにも関わらず、区は非公表を貫いた。区健康政策課の担当者はこう説明する。
「区ではお店や事業者との協力関係を大切にしています。店名公表によって、現場の調査に協力してもらえなかったり、感染者が出ても名乗り出てもらえなかったりするのは困りますので。必要に応じて公表せざるを得ないケースもあるかと思いますが、むやみやたらに出すものではないと考えます」