専門家「証拠ない段階でやめるのは残念」だが、「今回の対応はやむを得ない」
そもそも、TikTokをめぐって指摘されている情報漏洩の疑惑は、どれだけ深刻なのだろうか。ITジャーナリストの三上洋さんはこう解説する。
「運営会社のバイトダンスから、中国政府に利用者の情報が漏れているという証拠は現時点ではありません。ただ、バイトダンスは、中国・ウイグル問題について訴える動画を投稿していたアフガニスタン系アメリカ人の少女のTikTokアカウントを削除したことがあります。バイトダンスは『ミスだった』と釈明していますが、苦しい言い訳で、バイトダンスが中国政府に何らかの忖度をしているのだろうと想像できます。つまり、情報漏洩の疑惑はあるかもしれない、という『グレー』の状態です」
それでは今回の自治体の動きについてはどう見るか。
「自治体が低年齢層にPRするためにTikTokを活用することは大賛成ですが、今回のように証拠がない段階でやめてしまうのは残念です。もう少し確たる情報が得られるまで待ってもよかったのではないでしょうか。ただ、自治体は住民あってのものですし、住民から抗議もあったようですから、TikTokを続ける強い意志を持ち続けられないことも理解できます。今回の対応はやむを得ないでしょう」
自治体の動きに対し、バイトダンス日本法人は次のようにコメントしている。
「連携協定を結んでいただいている自治体様ならびに自治体在住の皆様にご心配をおかけしていること、大変申し訳なく思っております。自治体様に安心安全にご利用いただけるよう、万全のセキュリティ体制で運用を継続するとともに、自治体様のご判断に資するべく、可能な限りの情報提供等を続けてまいります。今後も透明性をもって説明責任を果たしつつ、自治体様のご指導の下、連携協定の内容に真摯に取り組んでまいりたいと考えます」