動物園や水族館の「緩い動画をあげていただけ」
神戸市も若者層への情報の発信をめざし、今年4月にTikTokの公式アカウントを開いた。市立の王子動物園のコアラや須磨水族館のイルカなどの動画を中心に30本前後をアップロードしていた。ちょうど新型コロナ禍で外出自粛を求められていた時期で、動物園も水族館も閉鎖されていたため、「自宅で癒しを感じてもらいたかった」(市広報課の係長)という。
神戸市でも7月ごろから日に1~2件くらいの頻度で市民からTikTokに対する安全性への懸念の声が寄せられたほか、アメリカなど海外でのアプリに対する安全性への疑念が指摘されていたことを踏まえ、8月3日にアカウントを非公開にした。神戸市でも動画のアップロードは専用のタブレット端末からで、市の事務処理に使うシステムとは完全に切り離されていたという。
「正直、我々ではアプリの危険性は全く分かりません。とはいえ、市が公式アカウントを運営することで、市民にTikTokアプリの利用を促進する側面もあります。市民サービスに直接影響を与える情報を発信していたわけではなく、緩い動画をあげていただけなので、総合的に判断し、『とりあえず止めとこう』ということになりました」(市広報課の係長)
埼玉県、神戸市とも、今後の国の対応などによっては、アカウントの再開を判断するという。
埼玉県、神戸市とも、TikTokの運営会社「バイトダンス」の日本法人と協定を結び、行政情報のPR活動に関して連携を進める予定だった。が、どちらもアカウント停止とともに、取り組みも止めている。
同様に、大阪府と広島県も、バイトダンスと情報発信面での連携協定を締結している。現時点でアカウント停止の動きはないが、いずれも今後、「日本政府の動きをみながら必要に応じて対応する」としている。大阪府の吉村洋文知事は8月3日、ツイッターに次のような投稿をしている。
「小中高生に例えばコロナで医療従事者やその家族への差別はやめよう等、伝えにくい層に効果的に伝えることができます。ただ、ここ数日の米政府の動向も踏まえ、我が国の安全保障上の課題の有無を国に問い合わせます。その回答を踏まえ、大阪府としての判断をします」