新型コロナウイルスの感染拡大中に就職活動をして内定を勝ち取った大学生、大学院生の4人に1人は、複数社からの内定を承諾しようと考えている――。インターネットのアンケートから、そんな実態が浮かび上がった。新型コロナの影響もあり、「不景気による内定取り消しが不安だ」との理由が4割以上だった。前年までと様変わりした、「コロナ時代」の就活生と企業の本音を聞いた。
2社以上の内定を得られた学生は「複数内定ホルダー」とも呼ばれる。アンケートを実施した、リファラル採用を活性化するサービスを運営する会社「MyRefer」(東京都中央区)の鈴木貴史社長は、複数内定ホルダーの例年のパターンを解説する。
今どきの就活生、「口コミサイトやランキング情報」で1社に絞る
「去年までは、遅くとも10月の内定式までにはどの会社に就職するかを決め、それ以外の会社には内定の辞退を伝えるケースがほとんどでした。また、内定辞退はまだしも、内定受諾後の辞退はまずないというのが、少なくとも企業にとっては常識でした」(鈴木社長)
アンケートは2020年7月8日と9日にインターネットで行った。それによると、文系(有効回答数399)の約62%、理系(同299)の63%が内定を得ていた。このうち複数内定ホルダーは文系が約29%、理系が約21%いた。なお、まだ内定を得ていない学生も文系で約29%、理系で約23%いた。
1社以上の内定を得ている就活生のうち、2社以上の内定を受諾しようと考えているのは、文系(同248)で約28%、理系(同145)で約22%いた。合計で25%、つまり4人に1人が複数社から内定を受諾しようとしていることになる。「3社以上の内定を受諾したい」という人も文系で約9%、理系で約4%いた。
その理由について、文系(同84)の約49%、理系(同38)の約47%が「どの内定先が自分にあっているか決め手に欠ける」と回答。「不景気による内定の取り消しが不安」という回答は文系で約41%、理系で約55%だった。「選考スケジュールがずれ、複数承諾せざるを得ない」という回答は文系で約41%、理系で約45%だった。新型コロナ禍による外出自粛や企業の休業、リモートワークなどの影響で、対面での面接ができなくなったことなどが背景にあるようだ。
2社以上の内定を受諾しようと考えている就活生のうち、最終的に1社に絞る時期は「10~12月」と回答した人が文系で約42%(同84)、理系で約53%(同38)で最多だった。「7~9月」と回答した人は文系で約38%、理系で約40%。入社直前となる来年の「1~3月」という人も文系で約14%、理系で約8%いた。
1社に絞るにあたって影響を及ぼす情報は何かという問いに対しては、文系(同84)で最多だったのが「口コミサイトやランキング情報」で約39%。「現場社員・先輩からのアドバイス」が約38%で続いた。理系では、最多だったのは「内定者同士の情報」で約50%だった。「人事からの情報提供」が約47%で2番目に多かった。