ファミマTOB、伊藤忠の思惑 実店舗とデジタルの融合は進むか

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アマゾンの存在感を意識

   伊藤忠は1998年、西武セゾングループの危機を受けて西友からファミマ株の30%を1300億円で取得して筆頭株主となり、2018年には出資比率を引き上げ、グループで50.1%保有し連結子会社とした。完全子会社化は2019年秋から協議が始まったというから、コロナ以前の「コンビニ頭打ち」への対応策として浮上した話だ。

   完全子会社化を受けて、具体的にはファミマの一部の店舗でAI(人工知能)を使った省力化の実験を進めることや、取得する株式の一部4.9%分を全国農業協同組合連合会(JA全農)と農林中央金庫(農林中金)に約570億円で譲渡して資本・業務提携するなどと報じられているが、伊藤忠の狙いの本丸は顧客データとデジタル戦略だ。

   伊藤忠が意識するのは世界最大の通販サイトを運営する米アマゾン・ドット・コム。米国で無人コンビニ「アマゾン・ゴー」を出店、さらに高級スーパー「ホールフーズ」を買収するなど、実店舗とネット通販の融合で先行している。伊藤忠がアマゾンに対抗するには、約1万6500の店舗、1日当たり約1500万人の来店客を基盤に年間約3兆円を売り上げるファミマの持つ顧客情報と販売力を、新商品・サービスの開発に最大限生かそうということだ。連結子会社とはいえ、独立した上場会社のままでは、迅速な情報共有と意思決定ができないと判断した。

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