ふるさと納税制度に復帰した3市町の返礼品が出そろった。大阪府泉佐野市がまず用意したのは地元特産のタオルのみ。一方、和歌山県高野町と佐賀県みやき町は地ビールや高級和牛などバラエティー豊かなラインナップとなっているが、アマゾンギフト券などかつて人気を博したような「攻める」返礼品はあるのだろうか。
泉佐野市は2020年7月30日から返礼品を贈る寄付の受け付けを再開した。19年6月施行の新制度から除外されて以降、約1年2カ月ぶりの返礼品「第1弾」として地場産品の泉州タオル236種類をそろえた。泉州タオルは約130年の歴史があり、吸水性がよく、肌触りが優しいという。千代松大耕市長は記者会見で次のように意気込みを語った。
「再び日本一をめざしたい」 年内に1000種類のラインナップ
「長きにわたる総務省との戦いを経てこの日を迎えられて本当に安堵しています。(中略)返礼品の数の多さが泉佐野市の特徴だったので、一歩一歩、今までの実績を乗り越えて行きながら、再び日本一をめざしたいと思います」
千代松氏は、準備ができ次第ラインナップを増やし、年内には地場産の玉ねぎなど泉州野菜や、泉佐野港で水揚げされた海産物なども含めて、計1000種類の品ぞろえをめざすと語った。受け付け用の専用サイト「さのちょく」も11月までにリニューアルするという。
かつて寄付額を集める「原動力」となったアマゾンギフト券については、こうした金券類を返礼品に盛り込むことを禁じた新制度を踏まえ、「今後やる予定はない」と否定した。返礼品は地元の特産品に限るなどとした国が定めた規定を厳守する、ともしている。
和歌山県高野町の「目玉」は地ビールだ。今年4月から高野山の宿坊の一部で販売予定だった「天空般若クラフトビール」で、新型コロナウイルス禍の影響で観光客が激減し、発売を見合わせていた。地域活性化の一環で19年に開発されたもので、これを返礼品としてアピールすることにした。
返礼品としては他に特産品のごまどうふやかんきつ類、県特産の「熊野牛」のステーキなど約50種類。数あるふるさと納税情報サイトのうち、「ふるなび」と「さとふる」の2つで受け付けを再開している。が、泉佐野市同様に、かつて話題を集めた高還元率の旅行券などは見当たらない。
「すっかり丸くなっちまいやがって」 やはり期待はギフト券?
現時点でバラエティーの豊かさで目立つのが佐賀県みやき町だ。佐賀牛のステーキや野菜セット、そして皮まで食べられるバナナを使ったクラフトビールなど約280種類。3市町で最速の7月上旬にはふるさと納税情報サイトに掲載を再開し、数百件の寄付が集まっているという。20年度は10億円の寄付を見込む。みやき町もやはり地場産品などに限定しているようで、かつて人気を集めたiPadやギフト券などは見当たらない。
3市町は19年6月、返礼品が過剰だったとして総務省にふるさと納税の制度から除外されたが、これを不服として泉佐野市が同省を提訴。20年6月30日の最高裁判決で逆転勝訴し、3市町は7月3日から制度への復帰が認められた。
3市町の復帰について、ツイッターでは歓迎や応援の投稿をするユーザーもいる一方で、やはり目立つのはアマゾンギフト券などのように「攻める」返礼品への期待だ。
「すっかり丸くなっちまいやがって」
「返礼品が一気にショボくなりました」
「おいおいおーーーい!泉佐野に期待しているのは、そこじゃねぇだろww」
「まだAmazonカードは復活していない様ですね...」
ふるさと納税をめぐっては、3市町とともに制度から除外され、一足遅れて7月17日に制度への復帰が認められた静岡県小山町も8月中旬から寄付の受け付けを再開する方針だ。
4市町とも、「地場産品のみ、寄付額の3割以内」という返礼品に関する基準を守るスタンスのようだ。1年のブランクを経て、他の自治体と同じ「土俵」で、異なる存在感をどうアピールするか。真価が問われている。