中国から「謎の種子」が次々に届いてアメリカなどで社会問題にもなったが、日本でも、同様な報告がツイッター上で相次いでいる。
農水省では、最寄りの植物防疫所への相談などを呼びかけている。様々な憶測があるようだが、狙いは一体どこにあるのだろうか。
「薬物と思われたら困る」と思い、警察に相談
小さなビニール袋の中に、緑色っぽい細長い種子が詰まっている。これは、ツイッターユーザーのmkaさん(@mka38919477)が受け取った郵便物だ。
mkaさんが2020年7月30日に明かしたところでは、マレーシアから送られたとあったが、シールの下を見ると元は中国だったという。「薬物と思われたら困る」と思い、警察に相談したところ、「開けずに受取拒否しなさい」と言われた。
mkaさんは、郵便物を開けてしまったので、31日になって管轄の植物防疫所にこの種子を届け出たそうだ。
アメリカで物議を醸した「謎の種子」は、日本でも、29日ごろからツイッター上で報告されるようになった。
種子の内容は様々で、アサガオの黒い種を小さくしたようなものや黄色っぽくて丸いタイプなどの写真が投稿されている。届いた地域も、横浜から札幌まで広い範囲に及んでいるようだ。
送り主は、中国という以外は不明で、複数のツイートでは、アマゾンの宅配を利用したことで情報が漏れたのではないかとの推測がされた。アマゾン用に使っている住所に届いた、アマゾンで買い物したら中国から品物が届いたことが何度かあった、といった理由からだ。
農水省の植物防疫所サイトでは30日、「海外から注文していない植物が郵送された場合は、植物防疫所にご相談ください」と呼びかける注目情報を出した。
アメリカでは、「ブラッシング詐欺」の可能性も指摘されたが...
そこでは、こうした事例が最近あるとして、輸入検査の合格スタンプがない植物が届いたら、そのままの状態で、最寄りの植物防疫所に相談するよう呼びかけている。また、庭やプランターなどに種子を植えない、種子がビニール袋に入っている場合は、ビニール袋を開封しない、と注意点が書いてある。
未開封の場合、配達後に受け取りを拒否できるため、その場合は郵便局に相談をとしている。
アメリカでは、種子の送付について、農務省などが「ブラッシング詐欺」の可能性があるのではないかと見方を示した。それは、比較的安い商品を相手の同意なしに送り付け、郵便物の差出人が受取人を装って、アマゾンなどの通販サイトに高評価のレビューを書き込む手口だ。
農水省の植物防疫課は7月31日、中国から種子が送り付けられる被害が、北海道や鹿児島などで少なくとも5件は報告されているとJ-CASTニュースの取材に答えた。実害は聞いていないとしたが、種子に病害虫が付着している恐れがあり、そのまん延は防ぎたいとしている。
様々な種子があり特定できていないというが、横浜で同日に届けられた種子は、ネギ属と分かった。商品名には、リング(指輪)と書かれていたという。
横浜市在住の作家、木乃子増緒さんが29日、ツイッターで中国から謎の種子が届いて、防疫所に郵送したと明かしていたことから、木乃子さんに届いた種子らしい。木乃子さんは31日、商品名はRINGで、ネギやアサガオの種じゃないかとツイッター上で言われたと取材に明かした。
アマゾン利用を通じて個人情報が流出した可能性について、アマゾンジャパンの広報担当者は31日、「社内で調査しており、現時点でのコメントは差し控えさせていただきます」と取材に答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)