千代田区長「解散通知」を選管否定 区議会とのバトルは司法へ?

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   高級マンション「優先購入」疑惑で揺れる東京都千代田区の石川雅己区長(79)が守勢に立たされている。区長は追及する区議会の解散を通知したが、区選挙管理委員会は2020年7月31日、これを無効と判断したのだ。地方自治を所管する立場の高市早苗総務相も31日、区長の判断に否定的な見解を示した。区長は31日、「解散の効力は続いており、議会は存在していない」とのコメントを発表。あくまで強気の姿勢だ。

   区長が上程した、新型コロナ対策として12万円を一律給付する計画を盛り込んだ補正予算案を審議する区議会臨時会。31日も区長不在のまま開かれ、淡々と議事が進んだ。議会はあくまで「区長の解散通知は無効」との立場だが、「区長が出席しないと議会で議論ができない」として、会期を1か月延長することを決めた。

  • 東京都千代田区の石川雅己区長(石川氏のフェイスブックから)
    東京都千代田区の石川雅己区長(石川氏のフェイスブックから)
  • 区長や副区長らが欠席のまま開かれた千代田区議会(31日午後)
    区長や副区長らが欠席のまま開かれた千代田区議会(31日午後)
  • 千代田区役所が入る庁舎
    千代田区役所が入る庁舎
  • 東京都千代田区の石川雅己区長(石川氏のフェイスブックから)
  • 区長や副区長らが欠席のまま開かれた千代田区議会(31日午後)
  • 千代田区役所が入る庁舎

選管、区長の解散通知は「無効」

   マンション疑惑とは――。石川区長が次男らと共有する高級マンションの1室(1億円超)が、一般には販売されず地権者や得意客に提供される「事業協力者住戸」だったことが判明。区長らは地権者ではなく、マンションは建設時に区の許可を受けて高さ制限が緩和されたことから、区議会で「規制緩和の見返りに便宜供与を受けたのではないか」と追及されていた。

   区長は、地方自治法100条に基づく調査権限を持つ区議会の委員会(百条委員会)で証人尋問に応じたが、この際に虚偽の証言をしたなどとして、区議らが区長の刑事告発を求める議案を提出し、賛成多数で可決された。これに反発した区長が刑事告発の議決は「実質的な不信任の議決と認められる」と主張し、区議会の解散通知を提出したのだ。その後、区長は「議会はもう存在しない」として欠席を続けている。

区長や副区長らが欠席のまま開かれた千代田区議会(31日午後)
区長や副区長らが欠席のまま開かれた千代田区議会(31日午後)

   そんな中、区選管は31日に臨時会合を開き、区長による区議会の解散通知について「適法な手続きを欠き無効」と判断。地方自治法上、解散は議会による不信任議決が前提条件だが、刑事告発の議決は「区長の不信任議決に当たらない」と結論付けた。区選管が区長の主張を否定したことで、議会の解散・区議選はなくなり、現在の区議らは立場がとりあえず守られた形だ。

強気の区長、「1つの見解。現在も議会は存在しない」

   一方、31日の閣議後に開かれた記者会見で高市総務相は、一般論と断った上で、「告発の議決が不信任を意味するとは考えにくい」との見方を示し、区長の対応に疑問を呈した。同時に「東京都が対応を検討中と聞いており、総務省が仲裁する状況ではない」と述べた。

千代田区役所が入る庁舎
千代田区役所が入る庁舎

   区選管も総務相も、「刑事告発は、私に対する不信任だ」という区長の主張を否定したわけだ。区長はどう動くのか。両者の見解を受けて、区長は次のようなコメントを報道機関に発表した。

「選管の決定内容については1つの見解として受け止めさせていただきます。(中略)『解散が有効かどうか』を決定できるのは、司法の場でございます。したがって、選管がどのような見解を示されたとしても、解散の効力は続いておりますので、自治法上、現在も議会は存在していないことになります(中略)。(総務相の会見については)あくまで一般的な見解を示されているのだと思います(後略)」

   区長はコメントの中で何度も「解散が有効か無効かは司法の場にゆだねるべきもの」と記している。ある区議はJ-CASTニュースの取材に、区長の解散通知の無効を求めて提訴することも検討していると明かした。区長vs区議会の争いの舞台は、司法の場に移ることになるのだろうか。

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