事務機大手、コニカミノルタの苦戦が続く。 もともと社会が「ペーパーレス」に向かう最中、新型コロナウイルスの感染拡大で、テレワークが定着しつつあることによる業績への逆風を懸念する見方が強まっているためだ。
課題は当人が一番よくわかってるが
7月10日の東京株式市場でコニカミノルタの株価は前日終値比2.2%(8円)安の358円まで下落した。7月最終週に入っても流れは変わらず、後述する2020年4~6月期の決算が発表された30日は309円とさらに下落。5年2か月前につけた高値1652円の5分の1以下の水準に陥っている。
もちろん人に言われずともコニカミノルタ自身、ペーパーレス化が進むことへの危機感を持っており、事業の多角化を急いでいる。特に投資を重ねる新規事業は超音波診断装置などの「ヘルスケア」事業で、新たな樹脂フィルムなどの「産業用材料・機器」にも力を入れている。ただ、売上高の過半を稼ぐ主力の事務機関連の「オフィス」事業には遠く及ばない。
また、海外売上高が約8割という点もコニカミノルタにとって逆風度を強めている。ビジネス機械・情報システム産業協会がまとめた2020年1~3月期の複写機・複合機の世界出荷実績によると、台数は前年同期比20.5%減の88万6826台で、このうち海外が22.2%減の74万2559台、国内が10.8%減の14万4267台と、海外の方が減少幅が大きい。ロックダウン(都市封鎖)など日本より厳しい措置をとった国が多いためとみられ、そうした傾向は今後も続くだろう。
少し前になるが、コニカミノルタが5月26日に発表した2020年3月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が30億円の赤字(前期は417億円の黒字)に転落した。キヤノン、リコーを含む事務機大手3社の中で最終赤字はコニカミノルタのみ。海外の影響をより大きく受け、事業多角化も途上であることが響いているようだ。
経営改革に向かう姿勢を示せるか
さらに7月30日発表した2020年4~6月期の連結決算は最終損益が173億円の赤字(前期は12億円の赤字)という、さらに厳しい数字に。2021年3月期の業績予想は「未定」で、先行きにさらに暗雲をもたらしている。
足元では証券各社によるコニカミノルタの目標株価引き下げが相次いでいる。SMBC日興証券が6月17日に配信したリポートは投資判断を3段階で最下位の「3」を維持し、目標株価を350円から300円に引き下げた。コロナの影響を踏まえて業績予想を見直したことなどによるもので、2021年3月期の連結営業利益は従来予想の260億円から100億円に下方修正した。
コロナと向き合いつつ、経営改革に向かう姿勢が求められるが――。