スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」の影響
7月16日、編集Aさんがこの流れを個人のツイッターアカウントで呟くと、非常に大きな反響があった。冒頭に記載したこのツイートは、29日現在までに約1.4万回リツイートされている。創元社はケルトブームの盛り上がりに関して、こう推察している。
「『SNSに端を発して専門書がヒットし、造語までも誕生した』というエピソード自体が受けたのか、ますます盛り上がりに拍車がかかった次第です」
またこのブームには、人気スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」(以下FGO)のファンが大きくかかわっているとしている。FGOには歴史や神話を基にしたキャラクターが多数おり、ケルト神話をモチーフとした、クー・フーリンやスカサハ、メイヴ、フェルグス・マック・ロイといったキャラクターも登場する。創元社の担当者は、このゲームについては以前から知っていたという。
「実際にプレイしている社員もいますが、おのおのプライベートで楽しんでいるため、これまで全社的に話題にのぼることはほぼありませんでした。(中略)ケルト文化はいろいろな作品の題材になっているので、今回のヒットを支えてくださったのはFGOファンだけに留まらないと思いますが、そうした創作作品では多かれ少なかれアレンジが加わっています。だからこそ、モデルになっている神話や歴史、文化を知りたいと思われる方が多いのかなと推察しています」
また回答をしてくれた担当者個人としては、もともと『ギルガメシュ叙事詩』が好きだということもあり、ギルガメシュやエルキドゥが気になっているとのことだった。
さて、この「ケルトブーム」が創元社に与えた影響は目覚ましいものだった。
「おかげさまで、専門書としては異例の反響をいただいています。弊社のHP通販に関していえば、年度目標金額を大幅に上回りました。話題となった『ケルト事典』はもちろん、関連書として紹介した本を合わせてご注文くださる方も少なくありません。 実のところ、SNSで話題になっても実際の購入には結びつかない例も多々あるのですが、今回はHP通販やウェブ書店はもちろん、リアル書店でも動きがあったことが非常に印象的で、出版社冥利に尽きる興奮を味わいました。 また、この話題をきっかけに、ケルトを題材にした関連作品や関連書、音楽や美術などのケルト文化についてツイートされる方もおられました。この一連の盛り上がりが、ケルト文化に興味を持たれたり、改めて触れていただいたりする機会になったとしたら、大変うれしく思います」
と、創元社は喜びを語った。