超党派で「香港人をサポート」 日本の「対中政策」議連がこれから取り組むこと

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   香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」が施行されたことを受け、香港市民の保護を目指す超党派の「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の設立総会が2020年7月29日、国会内で開かれた。

   議連では、「マグニツキー法」として知られる人権制裁法の議員立法や、緊急避難が必要な香港人の受け入れ(救命ボート)政策を進めたり、犯罪捜査をお互いに協力し合う「捜査共助」の協定で、国安法違反容疑での協力を拒否したりすることを政府に働きかけていきたい考えだ。

  • 「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の設立総会には、呼びかけ人の国会議員(写真左)と、在日香港人でつくるグループ(写真右)が出席した
    「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の設立総会には、呼びかけ人の国会議員(写真左)と、在日香港人でつくるグループ(写真右)が出席した
  • 「対中政策に関する国会議員連盟」(JPAC)の設立総会には、呼びかけ人の国会議員(写真左)と、在日香港人でつくるグループ(写真右)が出席した

「自制ができないときは国際社会が制御役を担わなければならない」

   対中政策をめぐっては、6月に17か国の国会議員らでつくる「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)が発足しており、日本からは自民党の中谷元・元防衛相と国民民主党の山尾志桜里衆院議員が参加している。IPACから連携の呼びかけがあったことから、日本でも議員連盟が立ち上がることになった。中谷・山尾両議員が共同代表を務める。

   中谷氏は、議員連盟の意義を

「我々、アジアの国としても、この人権と民主主義を大切にするため、その存在感を示して、香港人をサポートしていこうじゃないかという思いだ。そのためには国際社会が声をあげて、自制ができないときは国際社会が制御役を担わなければならない。ますます権威主義、覇権主義になっていく中国共産主義に対して、日本は公正性と相互主義に基づいて対応することが必要」

などと説明。具体的な目標として(1)国際的な人権侵害を調査、公表、制裁、救済する、グローバル人権法を議員立法で成立させること(2)入国後14日間の隔離とPCR検査を条件に、緊急避難が必要な香港人の来日、ビザなし滞在可能期間の延長、などを挙げた。

   (1)が、日本版の「マグニツキー法」にあたり、香港市民を弾圧した個人、組織への入国制限、資産凍結、国際組織への働きかけ、国際司法裁判所(ICJ)への訴訟の提起、国連特使の派遣要求などなどを念頭においている。山尾氏は法案の概要を示した上で、欧米ではすでに同様の法律が成立している国が多いとして、

「これからの民主主義国家の標準装備になっていく法制度だと思うので、是非、具体的な制度設計はともかく、超党派で成立させられたらいいと思っている」

などと話した。

「捜査共助」が国安法違反容疑に適用されることへの懸念

   日本は中国・香港ともに犯罪者の引き渡し条約は結んでいないが、「捜査共助」と呼ばれる、犯罪捜査をお互いに協力し合う協定を結んでいる。集会に参加した在日香港人グループからは、この協定が国安法違反容疑にも適用されることを懸念する声があがった。この点も議連にとっては関心事で、山尾氏は

「少なくとも、私たちが国安法に、これだけの疑念を持っている以上は、国安法(違反)容疑での捜査共助には応じない、ということを政府として意思表示していただくとか、その他の容疑であっても、『本当は国安法狙いじゃないか』といったことを、私たちは政府として慎重に見ますよ、というようなことを政府として打ち出していただければ」
とした。

   設立総会には、中谷・山尾両議員以外にも、呼びかけ人として自民党の山田宏参院議員、有村治子参院議員、長島昭久衆院議員、自民会派の藤末健三参院議員、希望の党の井上一徳衆院議員、日本維新の会の串田誠一衆院議員が出席。総会には欠席したが、立憲民主党の桜井周衆院議員も呼びかけ人に名を連ねている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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