「同人誌印刷所」の窮地は、日本の「同人文化」の危機だ 業界組合・イベント主催が語る「生態系」

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10月以降に事業継続を断念せざるを得ないケースが出てくる

   岡田理事長は、夏には即売会再開を期待していたが、このまま冬まで同人誌即売会の開催が厳しくなると事業継続が困難、もしくは深いダメージを負う会社が多数出ることになるという見方を示す。

「イベントはコミケだけではないので、コロナ終息とともに2021年のイベント開催に期待をするしかありませんが来年の5月の事など、予想しても意味がないほど深刻な状況になるでしょう。各企業の財務には体力差があるので一律には言えませんが『雇用調整助成金』が9月に終了し、その後の売上の山が見込めないので10月以降に事業継続を断念せざるを得ないケースが出てくると思われます」

   こうした即売会が延期・中止・縮小となる中で、今後の同人誌専門の印刷所はどうなるのか、また、同人文化にどのような影響があるのか。

「年内の大きな売上が見込めないのであれば、同人文化を支えていた印刷インフラは弱体化します。どの程度のダメージになるかは、何とも言えませんが『短納期』『高品質』『低価格』が今まで通りではなくなり、『早めの締切』『それなりの価格』となり、従来通りのインフラの復活には時間がかかるでしょう」

   印刷インフラの弱体化。それは上に述べたように、そのインフラに支えられる同人文化そのものにも大きな影響を与えかねない。

   SNSなどでは、同人誌印刷所にクラウドファンディングなどを望む声も見られるが、岡田理事長は、自身が社長を務める栄光では検討していないと述べる。

「印刷会社自身から発信できない。栄光では考えていない。有料の資料を作り販売したり、投げ銭を含む価格設定として何かを販売する、くらいでしょうか」

   そして一般の方やサークルに対しては、

「とにかく『本』を作り続けていただきたい。それが一番です」

とコメントした。

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