とうとう「刑事告発」採決、追い込まれた千代田区長 窮余の「12万円給付」策も猛批判され...

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   東京都千代田区の石川雅己区長は、新型コロナ対策として独自に12万円を区民全員に給付する事業を盛り込んだ補正予算案を2020年7月27日の区議会臨時会で上程した。しかし石川区長は、一般には販売されないマンションの部屋を優遇購入した「疑惑」があるとして区議会で追及されており、27日も区議から「疑惑隠しのばらまきではないか」と厳しい指摘を受けた。

「今まで区長は給付金には消極的で、『現金給付は一時的な効果しかなく、他区の二番煎じでパフォーマンスにしかならない』と否定的でした。これまでの方針を一転させた理由は何でしょうか。(中略)区内で億ションをいくつも買えるような裕福な家庭にまでなぜ12万円を支給しなくてはならないのか」
  • 東京都千代田区の石川雅己区長(石川氏のフェイスブックから)
    東京都千代田区の石川雅己区長(石川氏のフェイスブックから)
  • 千代田区役所が入る庁舎(7月27日)
    千代田区役所が入る庁舎(7月27日)
  • 千代田区議会で答弁する石川区長(7月27日、区のインターネット中継サイトから)
    千代田区議会で答弁する石川区長(7月27日、区のインターネット中継サイトから)
  • 東京都千代田区の石川雅己区長(石川氏のフェイスブックから)
  • 千代田区役所が入る庁舎(7月27日)
  • 千代田区議会で答弁する石川区長(7月27日、区のインターネット中継サイトから)

区長「かなり状況が変わってきましたので...」

   27日午後1時過ぎ、千代田区議会で質問した内田直之区議(自民)はこう指摘した。そして、マンション優遇購入「疑惑」に関して、こうたたみかけた。

「今回の12万円給付は疑惑隠しのためのばらまきではありませんか」

   石川区長は、時折言葉を途切らせながら、答弁した。

「5月の時点ではほぼ・・・新型コロナ・・・に対しては収束するのではないかというのが、あの当時の考え方でした。しかしその後・・・状況はご案内のとおり、まさに第2波、第3波という状況になってきたということであります。(中略)約1か月前からかなり状況が変わってきましたので、今回のような内容を提示いたしました」
千代田区役所が入る庁舎(7月27日)
千代田区役所が入る庁舎(7月27日)

   区長は、「核心」のマンション疑惑に関する質問については、地方自治法100条に基づき強い調査権限を持つ「百条委員会」が区議会に設置されていることを理由に、「百条委員会でその質問に答弁します」とかわし続けた。

区長、疑惑隠しの意図は「毛頭ない」

   「答弁になってないぞ」「逃げちゃだめだ」。議場から相次ぐ激しいやじ。区長の答弁に区議らが納得せず、議事はいったん中断。延長して27日午後6時過ぎに再開。「疑惑隠しのためのばらまきでは」という質問について、改めてこう答弁した。

「そういうことは毛頭ありません」

   27日は、石川区長が百条委で偽証したとして刑事告発を求める議案の採決が予定されていた。「もっと議論を尽くすべきでは」という反対論もあったが、夜まで討論をした結果、賛成多数で採択された。

千代田区議会で答弁する石川区長(7月27日、区のインターネット中継サイトから)
千代田区議会で答弁する石川区長(7月27日、区のインターネット中継サイトから)

   自民党区議の1人は「これまで消極的だったのに、刑事告発の話が出てきたので、慌てて区民受けのいい施策を考えたのだろう」といぶかる。

   マンション疑惑とは何か。

   石川区長のこれまでの区議会での説明や各メディアの報道によると、区長は4年前、千代田区三番町にある地上18階の高層分譲マンション1室(1億円超)を区長の次男らとの共有名義で購入。この部屋は、通常は地主らに提供される「事業協力者住戸」で、マンションの全92戸のうち3戸だけだった。

   マンションは立地の良さから人気で、残りの一般向けの部屋は抽選で販売された。区長の次男も抽選に応募したが、入居には至らなかった。区長と次男は地権者ではなかったにも関わらず、最終的に次男が不動産会社側から部屋の購入を持ちかけられ、区長と妻とで共同所有したという。

   このマンションは建設時に区の許可を受けて高さ制限が緩和され、マンションがあるエリアの通常の場合より約10メートル高くできることになったため、区議会で「規制緩和の見返りに便宜供与を受けたのではないか」と追及されている。

   石川区長はこれまで区議会の百条委員会で「便宜を図った見返りではない」と主張するとともに、「購入手続きをしたのは息子(次男)で、詳しい経緯は知らなかった」などと答弁している。

   千代田区が議会に上程した独自給付事業は、全区民約6万6千人が対象。事業費は約86億円で、財源は区の財政調整基金約460億円を取り崩して充てる。秋にも給付を始めたい方針だ。新型コロナ対策での自治体独自の給付金は、東京都品川区が区民1人あたり3万円(中学生以下は5万円)を支給する例がある。

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