「台湾のソーシャルメディアで組織的な偽情報キャンペーン」
唐氏が考える「サイバー攻撃」は、ネットワークに侵入したり、障害を与えたりする事象にとどまらない。記者の
「台湾の総統選の期間中に中国からのサイバー攻撃はあったか。もしそうならば、その攻撃をいかにして防いだのか」
という質問に対して、唐氏は「サイバー攻撃は文字通り毎時間のように行われており、質問への答えは『イエス』だ」と応じる一方で、防御システムが機能しているため、大きな脅威にはなっていないとの見方を示した。さらに唐氏は
「これは伝統的なサイバーセキュリティーの感覚からすれば、厳密にはサイバー攻撃ではないが...」
と断った上で、香港での抗議活動をめぐって
「台湾のソーシャルメディアで、組織的な偽情報キャンペーンを確認している」
と指摘した。
その一例としてあげたのが、19年11月に拡散した「警官殺し」の投稿だ。
「香港凶悪犯の報酬を暴露 『警官殺し』に最高2000万!」
と題した書き込みで、抗議活動の参加者には報酬が支払われていると主張する内容だ。
この書き込みをめぐっては、台湾のファクトチェック団体「台湾ファクトチェックセンター」が、情報を最初に投稿したのが中国共産党の「中央政法委員会」の微信(ウェイシン)アカウントだったことや、書き込みについていたロイター通信の写真に、元々のキャプションとは別の説明がつけられていたことなどから、「誤り」だと結論づけている。
唐氏は、こういったファクトチェックの結果、偽情報に関する注意喚起をすることができたと指摘。ソーシャルメディアも対策に協力したこともあって、
「(18年に台北や高雄で行われた)市長選に比べれば、(20年1月の総統選では、偽情報の)影響はずっと少なくなったと思う」
とした。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)