崩れる?第3の優位、チューハイには弱点も...
「第3」の好調は当面、続くとみられ、キリン以外の各社も、ここにまず力を入れる。サッポロは2月発売した「ゴールドスター」の販売目標を360万ケースから460万ケースに上積みし、サントリーは上半期20%増えた「金麦 糖質75%オフ」をさらに伸ばす考え。アサヒも3月に「アサヒ ザ・リッチ」を売り出し、目標を上回る売れ行きで、さらに力を入れる――といった具合だ。
ただ、一本調子で「第3」が優位を保つかは微妙だ。5月以降、飲食店の営業が再開されるにつれ、ビールの売り上げは回復に向かっている。さらに、酒税法改正により10月からはビールの酒税は350ミリリットル1缶あたり77円が7円下がる一方「第3」は9.8円上がり、2026年にはビール、発泡酒、「第3」の税は同額になる。「第3」とビールとの価格差が縮まる影響がどの程度出るか、業界は注視しているが、各社のシェアではアサヒに巻き返しの余地があるということだ。
さらに、ビール系飲料以外の存在も無視できない。増税で「第3」の価格が税込みで1缶137円程度になるのに対し、缶チューハイ1缶119円程度とされ、税金は2026年まで変わらないので、ビール系飲料に対し価格面の優位が続き、缶チューハイ市場の拡大が見込まれている。
ビール大手各社も缶チューハイを販売しており、社内で商品の代替ができればいいということになるが、実は、缶チューハイは利益率が低く、ビールの6割、「第3」の8割という。缶チューハイ市場の増加は各社の収益を圧迫するだけに、缶チューハイの商品設計、価格戦略にも各社、知恵を絞ることになる。