新型コロナウイルスの影響により、世間ではスマホやICカードでの決済がますます広まっている。
もちろん鉄道会社も例外ではないが、いまだに私は従来からの磁気券を定期的に利用している。その理由はなんだろうか。
関西私鉄でもICカード化への動きが進む
2020年7月10日、京阪電気鉄道は12月1日よりJR西日本が発行する交通系ICカード「ICOCA」による新サービス「京阪電車ポイント還元サービス」を開始することを発表した。
これはポイントサービスに登録済みの「ICOCA」で、対象路線の同一運賃区間を1カ月間に11回乗車した利用者に適用される。11回目以降の利用の際に、乗車運賃合算額の10%分のポイントが付与される。貯まったポイントは翌月15日以降に自動販売機やチャージ機でポイントをチャージすることで1ポイント=1円として電車やショッピングに利用できる。
一方、回数券の利用率減少と交通系ICカードの利用増加から、京阪線・鋼索線で利用できる回数券の発売は2020年12月30日に終了する。
それでも捨てがたい磁気回数券の魅力
このように交通系ICカードの普及が進む昨今だが、筆者はいまだに阪急電鉄の磁気回数券「土・休日回数券」を利用している。「土・休日回数券」は14回券で10回分の運賃で購入できる。つまり、割引率は28.6%にもなり、阪急電鉄が販売している5種類の回数券の中で最も割引率が高い。有効期限は3カ月目の末日までとなっている。
筆者の最寄り駅から大阪梅田駅までの営業距離は23.4キロとなり、大人の普通運賃は280円となる。「土・休日回数券」を利用すると事実上200円となり、京都・大阪・神戸を走る市バスの市内一律料金よりも安い。阪急電鉄の普通運賃は16キロを超えたあたりから、他社と比べると安価になり、自ずと回数券のお得度も増す。
このように大変お得な回数券なので、一沿線住民として重宝している。他社でも同様の割引率を持つ回数券は存在するが、昨今の流れを見ると磁気回数券からICカードを使ったポイントサービスへ移行している。
筆者が重宝する魅力的な阪急電鉄の磁気回数券も、そう遠くないうちに消えるのだろう。
(フリーライター 新田浩之)