稼働率が激減、消毒作業で減る講師の休憩
まず、2020年度の生徒の在籍状況を聞いてみた。男性が務める塾では、例年であれば少ない年であれば20人前後、多い年であれば35人前後が通年で在籍しているというが、今年に関しては、
「現在、在籍生徒の総数は25人で、コロナへの感染を恐れてか、例年で言えば少ない方寄りです。ちなみに、うちは高校受験部(中学生)と大学受験部(高校生のみ)をやっていますが、生徒数の比は今年も例年も3:2といったところです」
と、若干のコロナの影響が感じられると話してくれた。次に、通常授業を実施する上で、コロナ前とコロナ後の変化について聞いてみた。
「コロナ前は20畳ぐらいのワンフロアで、講師1人に対し、生徒2人という、1対2授業を同時に6組稼働させていましたが、室内の密集度を下げるべく、同時稼働は3組としました。また、座り方も変化しており、コロナ前は長机の真ん中に講師が座り、その両脇に生徒が座り、問題を解く生徒のノートを見ながらそれにツッコみつつ教えていました」
「絵が浮かぶように言うと、長方形の部屋の中に6個の長机が並んでいるんですが、長机の長辺を部屋の長辺に対して直角にして並べ、それぞれに講師1人と生徒2人が座っていたのです。これに対し、コロナ後は、長机3個を間引いてそのスペースにホワイトボードを置き、講師は長机とホワイトボードの間に立って、つまり、生徒と対面した状態で授業を行っています。結果的にではありますが、1度に教える人数は2人のままですが、授業の形式としては1対2授業ではなく、通常の塾で見られる複数授業(ホワイトボードや黒板の前に講師が立ち、対面して授業)と同じ形式になってしまっています」
また、単に密集状態を避ける以外の対策も取るようになったという。
「通常は講師・生徒ともにマスクをし、さらに、生徒が希望するときは使い捨てのフェイスガードを無料配布します。また、換気扇は常時回しているほか、授業1コマ(90分)のうち、45分経過後に10分間、及び、生徒の入れ替えも兼ねる休み時間(10分)にはフロアのドア1つと窓全てを開けて換気を行うようになりました。また、休み時間には換気の他にアルコールで机を消毒しなければならないので、講師の休憩時間が削られてしまうのが悩みの種です。ちなみに、コロナ後は同時に実施できる授業が半分になってしまったわけですが、休校中だった時に関しては、塾を朝から開けて何とか授業のコマ数をコロナ前と同じ数にすることが出来ていました。しかし、休校が終わった今、授業のコマ数は以前の半分に減少。ただ、夏期講習が始まれば、また、朝から塾を開けることが出来ます」