過去最悪レベルの赤字、コスト切りつめ策も次々
コロナ感染防止策の徹底をPRする航空各社だが、業績は厳しい。2020年1~3月期の最終赤字はANAが588億円、JALが229億円。6月以降は国内線の一部で乗客が戻りつつある一方、依然として国際線は厳しい。多くの国との間で渡航制限が解かれていない上、「今は外国に旅するべきではない」と考える人が多いからだ。
20年5月の国際線の便数はANA、JALともに運休、減便によって前年同月比で92%減。採算を取れる水準にはほど遠い。乗客から得られる売り上げより、燃料や乗員の人件費、空港着陸料などのコストが大きく上回る状態が続いているのが現状だ。
そのため、両社ともコスト切り詰めに余念がない。ANAが役員報酬や管理職の給与を削減したりグループ社員の大半を一時帰休させたりするなどして人件費を削減する方針の一方、JALも4月から実施している役員報酬1割の自主返納を12月まで続けることなどを決めている。
また、両社とも21年度入社の新卒採用を中止する方針だ。両社ともグループで毎年千人単位の学生らを採用していたが、パイロットなど一部の職種以外は見送る。
各社とも、7月からの夏休みシーズンに国内線の需要を喚起し、少しでも売り上げを回復させることを期待していた。だが、東京など都市部での新型コロナの感染再拡大や、政府による観光支援策「Go To トラベル」が東京発着の旅行について割引の対象外になったことで、出鼻をくじかれた形になっている。
(次回は7月25日午前6時に配信します)