007も大喜び? トヨタが「往年の名車」部品を復刻

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   トヨタ自動車は1967年発売の「トヨタ2000GT」の補修部品を復刻し、2020年8月以降に発売すると発表した(7月6日)。トヨタは19年5月、初代スープラ(A70型)と2代目スープラ(A80型)の部品を復刻して販売すると発表しており、2000GTが部品復刻の第2弾となる。

   部品の復刻は、トヨタのモータースポーツ部門である「TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ・ガズー・レーシング」の「GRヘリテージパーツプロジェクト」として行う。トヨタは同プロジェクトについて「『思い出の詰まった愛車に乗り続けたい』というお客様の想いに応えるべく、既に廃版となってしまった部品を復刻し、純正部品として再販売する」と説明している。

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当時の生産337台、現役は何台?

   トヨタ2000GTはトヨタがヤマハ発動機と共同開発したスポーツカーで、1967年から70年にかけ、わずか337台生産した。この生産台数の少なさから、現在も走れる状態で保存されている台数は極めて少ないとみられる。

   それでもトヨタが部品の復刻に踏み切ったのは、トヨタの歴史の中で2000GTはイメージリーダーであり、特別な存在だからなのだろう。

   トヨタ2000GTは、当時「仮想敵国」だった日産の「スカイライン2000GT‐R」に対抗する意味合いがあった。国内のモータースポーツで連勝し、人気絶頂だったスカイラインを凌駕するのがトヨタ2000GTの使命だった。

   このためエンジンはスカイライン2000GT‐Rと同じく直列6気筒DOHCの2リッターエンジンを採用した。このエンジンの開発には、バイクメーカーとしてスポーツエンジンを得意とするヤマハが大きくかかわった。

   トヨタの2000GTに対する意気込みは並々ならぬものがあった。そのひとつがスタイリングだ。セダンタイプのスカイラインとは大きく異なるロングノーズ・ショートデッキのクーペボディで、英国の高級スポーツカー「ジャガーEタイプ」を彷彿とさせるようなデザインだった。

   トヨタ2000GTは4輪ダブルウィッシュボーンサスペンション、4輪ディスクブレーキ、マグネシウムホイール、リトラクタブルヘッドライトなど、当時の先進技術を多く採用した。このうち、今日では当たり前の4輪ディスクブレーキを日本で最初に採用したのはこのクルマだった。

「車両のオーナー様のみ」への販売

   走りの性能はどうだったのか。トヨタ2000GTの最高速度は220キロで、トヨタは「当時の欧州のスポーツカーに並んだ」と説明する。この高速性能を裏づけるため、トヨタはスピードトライアルに挑戦し、3つの世界記録(1万マイル、1万5000キロ、72時間)と13の国際記録を樹立したが、モータースポーツでの活躍はいまひとつで、日産スカイライン2000GT‐Rのような「伝説」を残すことはできなかった。

   とはいえ、トヨタ2000GTは生産台数の少なさに加え、当時、日本が舞台となった映画007シリーズ「007は二度死ぬ」のボンドカーに採用されるなど話題を呼び、「トヨタの名車」として記憶されることになった。

   今回、復刻する部品はギヤ、ガスケット・オイルシールキット、ファイナルギヤセットなどトランスミッションとデファレンシャル関係の部品が中心となる。

   トヨタは「2000GTの車両の希少性、部品の転売を防止する観点から、車両のオーナー様のみ、かつ車両当たり数量制限付きでの販売となる」と説明する。そんな「殿様商売」ができるのも、トヨタ2000GTだからだろう。

   トヨタは8月1日以降、準備が整った部品から詳細情報を専用サイトに公開し、オーダーの受付を始めるという。

   生産終了となった人気モデルの部品を自動車メーカーが復刻する動きは、マツダが2017年12月、初代ロードスターのレストアサービスを始めたのに続き、ホンダがビート、日産がスカイラインGT‐Rなどで行っている。トップメーカーのトヨタがスープラに続き、少量生産の2000GTにもレストアサービスを拡大することで、好きなクルマを長く楽しむ自動車文化が欧米同様、日本にも根付くことへの期待感も寄せられている。

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