航空機の中央席、空ける?空けない? 混雑増す機内...「密」防止に議論沸騰【空の旅の新常態】

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利用者は評価の「中央席ブロック」 国内大手3社の対応は

   緊急事態宣言が出されていた間、大手ではJALとスカイマークが、社会的距離を保つためとして中央席の販売を見合わせていた。一部の利用者の間では「中央席ブロック」と称され、評価する声もあった。しかし、宣言が解除されて利用客が徐々に戻る中、スカイマークは5月末、そしてJALも6月末に、中央席の販売を再開した。

   ANAの場合は緊急事態宣言中も、解除後も、中央席の販売を続けている。もちろん、今年5月に運航便数が前年同期比で-85%となるなどこの期間中は利用が大幅に落ち込むとともに、乗客もわずかで大半の便で客席が空席だったため、中央席は空いていることの方が多かった。

   各社は今後も、他に空席があり、そこへの移動を乗客が望めば、柔軟に対応するという。

7月上旬に羽田―那覇を往復した旅行者が撮った機内の様子。中央席はほぼ埋まり、周囲は満席に近かったという(旅行者提供)
7月上旬に羽田―那覇を往復した旅行者が撮った機内の様子。中央席はほぼ埋まり、周囲は満席に近かったという(旅行者提供)

   一方、欧米では中央席を空けるかどうかをめぐって論争が沸き起こっている。

   米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが今年7月に投稿した論文(未査読)によると、飛行機が満席の場合はすぐ近くの乗客から新型コロナウイルスをうつされる確率が4300分の1あるが、中央席を空席にすると7700分の1に引き下げられるという。

   米アメリカン航空は3月下旬から3人掛けの中央席の半数を空席にしていたが、6月下旬に中央席の販売を7月から再開すると発表。すると、民主党のジェフ・マークリー上院議員が満席の機内の写真をツイッターに投稿し、「信じられないほど無責任だ」と批判した。

米民主党のジェフ・マークリー上院議員が満席のアメリカン機内の様子を投稿した画像(議員のツイッターから)
米民主党のジェフ・マークリー上院議員が満席のアメリカン機内の様子を投稿した画像(議員のツイッターから)

   こうした指摘は欧州航空安全局などからも出されていたが、座席販売数の制限で利益が大幅に減ってしまう航空業界は当然ながら反発。国際航空運送協会(IATA)は、中央席を空席にする措置を義務化することを推奨しないと表明。空気が循環する客室では感染リスクは低いと考えられるとした上で、IATAの非公式な調査では、乗客間の感染が疑われる事例はなかったとも主張している。

   米ユナイテッド航空の幹部は7月1日の記者会見で、中央席を空席にすることについて、PRのための戦略だ。安全のための戦略ではない」と酷評。機内で社会的距離を保つ方策として必要性はないと主張するとともに、マスク着用や機内の換気・清掃こそが安全性に効果があるとした。

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