「オウムはまだ歴史ではない」 公安調査庁「異例会見」で語った「麻原崇拝の実態」

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   オウム真理教による地下鉄サリン事件から四半世紀を迎えたのを機に、公安調査庁が2020年7月17日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。公安調査庁が同協会で会見するのは初めて。

   同庁では19年12月に「あのテロ事件から四半世紀~今も変わらないオウム真理教~」と題した啓発動画をユーチューブに公開。その英語の吹き替え版が公開されたことや、元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚らオウム幹部の死刑が18年7月に執行されて2年になることから、オウム後継団体の危険性を改めてアピールすることにした。

   公安調査庁では、団体規制法に基づいて後継団体「アレフ」などの立ち入り検査を続けている。今でも、松本元死刑囚の教義に基づく修行が行われているとして、オウムが子ども向けに使っている教材などを紹介。信者の勧誘活動も行われているといい、「オウムはまだ歴史ではなく、解決していない問題として存在している」などと訴えた。

  • 記者会見する公安調査庁の渡部亜由子・調査第二部第一課長(写真左)。公安調査庁が日本外国特派員協会で会見するのは初めてだ
    記者会見する公安調査庁の渡部亜由子・調査第二部第一課長(写真左)。公安調査庁が日本外国特派員協会で会見するのは初めてだ
  • 2016年の立ち入り検査で確認された児童向け教材。松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚のイラストが入っている(写真:公安調査庁)
    2016年の立ち入り検査で確認された児童向け教材。松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚のイラストが入っている(写真:公安調査庁)
  • 2014年の立ち入り検査で確認された児童向け教材「小学生の真理」(写真:公安調査庁)
    2014年の立ち入り検査で確認された児童向け教材「小学生の真理」(写真:公安調査庁)
  • 2019年の立入検査で確認された「甘露水」タンク。松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚のマントラ(呪文)のデータを教団が独自に作成した装置を使用して電気信号に変換したものをタンクに貯めた水に流して作られる「聖水」だとされる(写真:公安調査庁)
    2019年の立入検査で確認された「甘露水」タンク。松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚のマントラ(呪文)のデータを教団が独自に作成した装置を使用して電気信号に変換したものをタンクに貯めた水に流して作られる「聖水」だとされる(写真:公安調査庁)
  • 記者会見する公安調査庁の渡部亜由子・調査第二部第一課長(写真左)。公安調査庁が日本外国特派員協会で会見するのは初めてだ
  • 2016年の立ち入り検査で確認された児童向け教材。松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚のイラストが入っている(写真:公安調査庁)
  • 2014年の立ち入り検査で確認された児童向け教材「小学生の真理」(写真:公安調査庁)
  • 2019年の立入検査で確認された「甘露水」タンク。松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚のマントラ(呪文)のデータを教団が独自に作成した装置を使用して電気信号に変換したものをタンクに貯めた水に流して作られる「聖水」だとされる(写真:公安調査庁)

2020年3月には14人目の犠牲者

   地下鉄サリン事件は、1995年3月20日午前8時頃に発生。オウム真理教の幹部が東京の地下鉄日比谷線や丸ノ内線など計5本の車内でサリンをまき、計13人が死亡し、6000人以上が重軽傷を負った。重い後遺症と闘ってきた浅川幸子さんが20年3月10日にサリン中毒による低酸素脳症で死去し、14人目の犠牲者となった。

   公安調査庁のまとめによると、オウム後継団体の信徒数は約1650人(出家:約300人、在家:約1350人)で、19年10月時点での資産は約12億9100万円にのぼる。寄付や、拠点で開かれるセミナーの参加費で集金しているとみられている。活動拠点は全国15都道府県に31施設あり、公安調査庁では19年には12都道府県の25か所に対して立ち入り検査を行った。

   会見した公安調査庁の渡部亜由子・調査第二部第一課長は、「今でも麻原の教義に依拠した修行が行われている」として、松本元死刑囚の著書の内容を暗記させたり、その理解度を確認するための試験が行われたりしていると指摘した。

   それ以外にも、円形に設置したスピーカーの真ん中に座り、松本元死刑囚の声を大音量で流す「音のイニシエーション」や、松本元死刑囚の言葉が電気に変換され、それが体に流れるとする「炎のイニシエーション」がいまだに行われている、とした。

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