開幕して1カ月、パ・リーグの長距離砲たちが驚異的なペースで本塁打を量産している。首位快走の立役者となっている楽天の4番・浅村栄斗が26試合で11本塁打をマーク。2位タイでソフトバンク・柳田悠岐、西武・山川穂高、日本ハム・中田翔が9本塁打と追走している。セ・リーグも中日・ビシエド、巨人・岡本和真が9本塁打をマークしている。
球団首脳陣「本塁打のペースは落ちないと思う」
今年は新型コロナウイルスの影響で開幕が2カ月以上遅れて6月19日に開幕。投手がコンディションの調整に苦慮する中、打者に有利に働いているように見える。
ある球団の首脳陣は「打者は練習で打ち込めば、試合にもある程度対応できるけど、投手はキャンプで投げ込んでオープン戦で調整したのを一回落として、また状態を上げなければいけないから厳しいよ。あと今年はボールが飛んでいるように感じる。それも長距離砲にはプラスに働いている。過密日程で体力的にしんどいかもしれないけど、梅雨の記事に比べて体調は整えやすい。本塁打のペースは落ちないと思う。山川、柳田は120試合だけど50本塁打に到達しても不思議ではない」と分析する。
タイトル争いの本命は2年連続本塁打王の山川だろう。18年は47本塁打、昨年は43本塁打をマーク。末恐ろしいことにその潜在能力を目一杯発揮しているとは言えない。昨季は5月までの50試合で22本塁打と日本記録を超えるペースで量産していたが、6月以降に失速して4番の座も中村剛也に明け渡した。
さらなる進化のポイントは
今年は打撃改造に踏み切り、昨年と比べて右肩よりにバットを構え、左足の上げ幅も小さくなった。無駄を削ぎ落して打撃精度を高めたフォームになり、打球方向にも変化が。昨季は43本塁打中で逆方向の右翼への本塁打は2本のみだったが、今年は9本塁打の現時点で、右方向に早くも2本のアーチを放っている。広角に本塁打を打つことが可能になり、スラッガーとしてさらに進化している。
ソフトバンク・柳田も山川と同様に長距離砲として規格外のスケールだ。自己最多は18年の36本塁打だが、左打者では異質の逆方向に「打った瞬間本塁打」を連発するなど打撃に凄みが増している。クラッチヒッターからスラッガーに変貌を遂げている浅村、今年は失投をきっちりスタンドに運んでいる中田...和製大砲たちのハイレベルな争いから目が離せない。