香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」に抗議するデモで活発に用いられたスローガン「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」が、楽曲の中に「隠しメッセージ」として仕込まれていたとして、騒ぎが広がっている。
楽曲自体は2020年3月に発表されたものだが、この「光復香港、時代革命」は国安法では違法だとされていることもあって、関係ゲームの不買運動を呼びかける動きも発生。楽曲の作者は、音楽監督の辞任を表明。台湾にあるゲームの開発会社も陳謝する事態に発展している。
「0342 1788 7449 3263 2514 0108 7245 0730」を漢字に直すと...
国安法は6月30日に成立・施行。「光復香港、時代革命」をめぐっては、香港政府が7月2日に
「『香港独立』、つまり、中華人民共和国から香港特別行政区を分離して香港特別行政区の法的地位を変更し、国家権力を破壊しようとする含意がある」
などとする声明を発表し、違法になりうるとの見方を示している。
そこでやり玉に上げられたのが、台湾のソーシャルゲーム企業「レイアーク」が開発・初発売した音楽ゲーム「Cytus II(サイタス・ツー)」の音楽監督、Ice(アイス)氏が3月に、ファイル共有サービス「サウンドクラウド」で発表した楽曲だ。
タイトルは「Telegraph : 1344 7609 2575」。中国語圏では、電報を送るために4桁の数字と漢字をひもづける「電碼」と呼ばれる仕組みがあり、数字の部分を漢字に置き換えると「安魂曲」。日本語にすると「電報:レクイエム」といったところだ。サウンドクラウドのURLの最後は「7449-3263-0086-0502-3111」で、漢字にすると「香港人加油」。日本語だと「香港人頑張れ」だ。香港メディアによると、Ice氏は香港人だという。
さらに、楽曲の中盤にはモールス信号が流れるところもあり、それを数字に直すと「0342 1788 7449 3263 2514 0108 7245 0730」。さらに漢字に変換すると「光復香港時代革命」だ。中国のネットユーザーが7月中旬にこの事実に気づき、騒ぎが広がった。ゲームのレビュー欄で低評価をつけたり、不買運動を呼びかけたりする人も出た。