「Go To トラベル」、自分で手配したら割引ならない場合も 注意すべきポイントを整理、「出張」も対象?

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   旅行代金の割引などが受けられる、国の観光支援策「Go To トラベル」。旅行会社などを通さず鉄道を予約したり観光地まで高速道路を使ったりした場合の交通費は割引の対象にならないため、注意が必要だ。個人で格安チケットを買って使ったり家族で自家用車を使って移動したりする旅に慣れた人は、違和感を持つだろう。しかも現時点では、出張などビジネス目的の旅でも、割引を受けられる余地がある。観光庁への取材などを元に整理した。

   「トラベル」事業は、国内旅行(海外旅行は対象外)をする人に宿泊費や旅費などの代金の50%相当額を支援する仕組みだ。支援額の7割(旅行代金全体の35%)は割引となり、残り3割(全体の15%)は旅行先での土産物店や飲食店、観光施設などで使えるクーポンとして配られる。クーポン配布は準備が間に合わず、9月以降に「本格実施」されることになっている。

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  • 「Go To トラベル」事業について解説する観光庁の資料の一部。ピンク色で囲った部分は割引の対象だ
    「Go To トラベル」事業について解説する観光庁の資料の一部。ピンク色で囲った部分は割引の対象だ
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  • 「Go To トラベル」事業について解説する観光庁の資料の一部。ピンク色で囲った部分は割引の対象だ
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観光庁に個別ケースごとに聞いてみた

   旅行の手配方法は人それぞれだ。この事業では、JTBやHISなどの旅行代理店、「楽天トラベル」や「じゃらん」などの旅行サイトを通じて、宿泊費や旅費などをまとめて支払うパッケージツアーの場合は、問題なく割引の対象となる。注意が必要なのは、個人で新幹線や飛行機のチケットを鉄道会社や航空会社で予約したり自家用車で高速道路を経由して旅先まで行ったりするケースだ。観光庁総務課の担当者に、個別ケースごとに聞いてみた。

   1) 航空機や新幹線、特急のチケットを自分で手配したら?

観光庁「旅行会社や旅行サイトを通じて、宿泊施設と一緒に予約する場合は割引の対象になります。個人の方が直接鉄道会社や航空会社のサイトや窓口で予約・購入する場合は対象外です。チケットショップで格安チケットを買って使っても対象外です」

   2) 自家用車を運転して高速道路や一般道で観光地まで行く場合は?

観光庁「高速料金やガソリン代は原則的に割引の対象外です。旅行会社や旅行サイトを通じて手配した『広域周遊チケット』のようなプランに有料道路のチケットなどが含まれていれば対象となります。ただし、今後詳細を詰めますが、9月から配布するクーポンで支払えることになるかもしれません」

宿泊先でお酒や朝食をオプションで注文してもダメ?

   3) 旅先でタクシーに乗ったりレンタカーを借りたりしたら?

観光庁「旅行会社や旅行サイトで宿泊施設と一緒に予約する場合は割引の対象になります。レンタカー会社などに自分で個別に手配するのは対象外となります。こちらも、9月に配布のクーポンが使えることになるかもしれません」

   4) 旅館など宿泊施設に個人で直接予約する場合は?

観光庁「『Go To トラベル』事業に参加する宿泊施設であれば対象です。宿泊施設は予約システムを通じて宿泊記録がきちんと蓄積・保管される仕組みなどが整っている場合に事業に参加できます。参加しない施設もあるかもしれないので、直接予約する場合は事前に確認をしてください」
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   5) 旅行先での飲食代金も割引対象?

観光庁「9月に配布のクーポンが使えることになります。割引について基本的には対象外です。ただし、旅行会社などを通じて予約したパッケージツアーに食事が含まれていたり食事込みで旅館の宿泊を予約したりすれば対象になります。その場合も、現地に行ってからお酒を追加注文したり朝食をオプションで頼んだりすると対象外となります」

   6) お土産代や観光・レジャー施設への入場料も割引対象?

観光庁「基本的には対象外です。ただし、旅行会社などを通じて予約したパッケージツアーに含まれていれば対象になります。こちらも多くの場合、9月に配布のクーポンが使えることになるでしょう」

   このように、通常は家族で旅行する場合などは格安チケットを使ったり自家用車で移動したりする方が安くすむことが多いが、キャンペーンによる割引を受けられないとなると、今回はかえってお得にならない可能性もある。

「旅行会社への利益供与では」 ネットでは批判の声も

   ほかにも様々なケースで割引対象・対象外が分かれることになるが、要件を満たした宿泊施設に直接予約するケースの宿泊料以外は、ほとんどの場合で旅行会社や旅行サイトに代金を支払うことが前提の制度設計になっている。こうした制度設計に、ツイッター上では賛否の声が飛び交う。

「観光業界全体への救済、支援策ではないことがモロバレですね...」
「これはひどい。困っている旅館を救うのではなく、特定の旅行会社への利益供与では」
「ある程度しっかりしていて契約を追跡できる業者を通してあとで検証できるようにしたんだと思います」
「単純な交通利用機関利用まで対象にしたら、観光じゃない『帰省の交通費』とか『仕事の営業交通費』も全部補助する事になる」
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   観光庁総務課の担当者はこう説明する。

「旅行業に登録している事業者への支援を通じて、(コロナ禍の影響を受けた)観光業を盛り上げようということで始めるわけですが、国民の皆さんからの批判は承知しています。(旅行会社などを通さないと対象にならないケースが多い仕組みについては)国の方針として決まっているのでご理解いただければと思います」

ビジネス目的でも割引対象になる場合も

   現時点では、観光目的ではなく出張などビジネス目的の旅であっても、要件を満たせばキャンペーンによる割引対象になるという。

   確かに旅行会社などを通じてホテルや新幹線などのパッケージツアーを予約さえすれば、現地でビジネスの打ち合わせなどをしたり、クーポンで取引相手と接待会食をしたりすることはできそうだ。利用者の目的が違っても、苦境に陥っている地方の宿泊業者などが恩恵を得られる点では同じだ。

   ただ、同じ会社の社員らが大量に何度も利用するなどのケースが出れば、国民の批判が起こりそうだが、観光庁総務課の担当者は申し訳なさそうにこう話した。

「現時点では、ビジネスであっても要件を満たしていれば割引の対象になる、と理解しています」
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