海外旅行は対前年比「1%」国内も「3%」に... Go To論争に突き付けられた、数字の残酷さ

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   観光庁が公式サイトで発表した旅行速報について、「桁が2つも3つも違う」「情け容赦なさすぎる」とネット上で波紋が広がっている。

   海外ばかりか国内の旅行も、ゼロに近い数字が並んでいるというのだ。政府がGo Toキャンペーンをやりたがるのも無理はない、との声も漏れているが...。

  • 観光庁の旅行速報がネットで波紋
    観光庁の旅行速報がネットで波紋
  • 観光庁の旅行速報がネットで波紋

パッケージツアーの総取扱額は、97.6%も減少して

   東京都内で新型コロナウイルスの感染者が連日200人を超し、野党なども延期論を主張する中、政府は、2020年7月22日から始めるとしたGo Toキャンペーンについて、東京は対象から除外すると発表し、衝撃が走った。さらに、高齢者や若者の団体旅行も除外すると追加発表し、旅行業界も混乱している。

   それでも、キャンペーンそのものを延期しない背景には、旅行業界の深刻な経営状況があるらしい。

「総取扱額は対前年同月比 1.0%となった」
「総取扱額は対前年同月比 0.2%となった」
「総取扱額は対前年同月比 3.4%となった」

   これらは、観光庁が17日にプレスリリースとして掲載した5月分の「主要旅行業者の旅行取扱状況速報」のうち、それぞれ海外旅行、外国人旅行、国内旅行の数字だ。

   つまり、感染拡大による旅行の延期や中止の影響などを受け、99.0%、99.8%、96.6%もそれぞれ減っているということだ。

   その結果は、同庁が国内大手旅行47社から聞き取り調査をして判明した。

   パッケージツアーの総取扱額を見ると、3区分の旅行の合計は、前年同月比97.6%減の95億7336万円となり、過去最大だった4月の減少率95.5%よりもさらに悪化した。内訳は、海外旅行が13億5851万円、外国人旅行が3924万円、国内旅行が81億7561万円となっている。

JTBなどはボーナスゼロ、HISは国内3分の1店舗閉鎖へ

   中でも、海外旅行の取扱人数は、なんと37人で、前年同月比はゼロだ。外国人旅行は、取扱額も取扱人数も、同ゼロと壊滅的な状態となった。

   大手旅行会社の取扱額を見ると、JTB(グループ10社)が同96.4%減の51億327万円、KNT-CTホールディングス(13社)が同98.7%減の6億6346万円、日本旅行が同98.2%減の7億9933万円となり、それぞれ前月よりも悪化している。日本旅行、阪急交通社(3社)、ジャルパックなどは、海外旅行の取扱額がゼロとなった。

   こうした苦境を受けて、JTBは7月8日、社員約1万3千人に冬のボーナスを支給しないと異例の通知を出したことを明らかにした。また、観光庁の速報には名前が出てこないが、HISは6月24日、19年11月~20年4月の半年間の連結純損益が34億円の赤字になったことを受け、国内店舗の約3分の1を閉鎖し、海外旅行から国内旅行に主力をシフトすると発表していた。

   観光庁の速報は、7月17日の発表当日からツイッター上で大きな話題となった。観光業界が死ぬと言われているようで「情け容赦なさすぎる」とした投稿は、2万件以上もリツイートされるほどの反響を集めている。

   ツイートへの反応としては、「桁が2つも3つも違うの見ると本当にヒエッてなるよね」「下手なB級ゾンビ映画よりグロいなこれ」と驚く声のほか、「多少無理しても、GoTo推したくなるのがわかった...」「国民が1番なのはわかりますけど、国が崩壊したら元も子もない」といった意見も出ていた。

   一方で、「それでもGoToはやり方が違うような気が」「アメリカの様になればもう国内外でも旅行とか言ってられない状況になる」「そもそも『収束後』のプランなんですよね」などとして、別の方策を考えるべきだとの声も強かった。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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