プロ野球のセ・リーグの4番打者が好調を維持している。打率部門では、4チームの主砲がトップテンに名を連ね、本塁打でもし烈な争いを展開している。今シーズンは新型コロナウイルスの影響で開幕が3カ月遅れ打者のコンディションが懸念されたが、開幕から各チームの4番が軽快に飛ばしている。
阪神は開幕から3人が4番に
公式戦開幕から2020年7月16日までのセ・リーグ各チームのスタメンを見てみると、阪神以外の5チームが4番を固定している。巨人とヤクルトはともに若き主砲・岡本和真内野手(24)、村上宗隆内野手(20)が不動の4番に定着。広島、中日は実績のあるダヤン・ビシエド内野手(31)と鈴木誠也外野手(25)が4番に入り、DeNAは佐野恵太外野手(25)が今シーズンから新たに4番を務めている。
4番を固定しきれていない阪神は、新外国人ジャスティン・ボーア内野手(32)が開幕から2試合連続で4番スタメン出場を果たした。ボーアの調子が上がらず3試合目からはジェフリー・マルテ内野手(29)が4番に。マルテは7月4日まで11試合連続で4番に座ったが、左ふくらはぎの張りで戦線離脱。以降は大山悠輔内野手(25)が4番に入り、阪神打線を支えている。
開幕から4番に座る5チームの主砲は、ここまで打撃で高い数字を残している。打率のトップテンには、村上が.390で2位に入っており、岡本が.366で3位。これに佐野が続き.364で4位に食い込んでいる。さらに鈴木が.342で6位、ビシエドはトップテンには入っていないものの.304で11位につけている。また、大山は規定打席に達していないが、打率.349と好調をキープしている。
本塁打ゼロの佐野はつなぎ役に
出塁率においても各チームの4番は高い数字をマークしており、トップは.474の村上で、鈴木が.447で続く。村上、鈴木ともに13つの四球があり、これが出塁率の高さにつながっている。岡本、佐野、大山も出塁率が高く、それぞれ.429(岡本).424(佐野).417(大山)となっている。ビシエドはこの5人に比べて数字では劣るが、出塁率.352は決して低い数字ではない。
打点では村上が24点でトップを走り、岡本が23点、ビシエドが22点で追いかける。本塁打は岡本の8本がトップで、鈴木、ビシエドが7本。村上と大山は3本と水をあけられている。ここで注目したいのが佐野だ。佐野は開幕から7月16日まで23試合連続で4番スタメン出場を果たしているが、ここまで本塁打はゼロ。リーグの4番で唯一の本塁打ゼロで、打率トップテンの中でも本塁打ゼロは佐野だけだ。
DeNAは開幕から主に1番に梶谷隆幸外野手(31)、2番ネフタリ・ソト内野手(31)、3番タイラー・オースティン外野手(28)と打線を組んでおり、佐野の前に破壊力抜群の打者が顔を揃える。また、佐野の後ろにはホセ・ロペス内野手(36)、宮崎敏郎内野手(31)が控えている。元来、ホームラン打者ではない佐野は、4番ながら前後のスラッガーを生かすかのようなつなぎ役に徹している。
開幕からここまで岡本、村上の2人の若き主砲が存在感を見せ、大山には4番定着の期待がかかる。DeNAの新四番・佐野もしっかりと結果を残し、鈴木、ビシエドも健在だ。チームの「顔」となる4番打者。それぞれのチームの主砲のバットが、ペントレースの行方を握る。