前途洋々のスターたち
すでにトップスターとなった柚香さん・礼さんのほかに新人公演主演を経験した95期男役は、花組に水美舞斗(みなみ・まいと)さん、月組に月城かなとさん、雪組に朝美絢さん、星組に瀬央ゆりあさん、宙組に桜木みなとさんが在籍。全員が既に宝塚バウホール(宝塚市)での公演で単独主演を果たし、それぞれ組に不可欠な活躍をしている。水美さんは前回の「はいからさんが通る」で鬼島軍曹役を演じ、柚香さんと息のあった舞台を見せた。今回も同役での好演が期待される。
長身で端正な容姿の月組2番手の月城さんは雪組出身で、次の大劇場公演は「WELCOME TO TAKARAZUKA/ピガール狂騒曲」。公演日程は未定だが、「WELCOME TO TAKARAZUKA」が日本物ショーなので、雪組時代から培った日本物のスキルに注目だ。雪組の朝美さんは前回公演「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」で異例の女役を演じながらも、持ち味の美貌が光っていた。
星組の瀬央さんは主演のバウホール公演「龍の宮物語」(2019年)が好評で、硬質な男役らしさが浦島太郎伝説をモチーフにした幻想的な作品を彩った。宙組の桜木さんは延期となった主演公演「壮麗帝」を8月に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演予定で、オスマン帝国の皇帝スレイマン1世を演じて壮大な歴史劇に挑む。
入団から11年を経て、95期の男役はますます円熟の時期に差し掛かり、今後トップスターとなるスターも現れるだろう。約4カ月という公演中断は阪神・淡路大震災、東日本大震災でもなかった非常事態だが、二度の震災を乗り越えたように、95期生だけでなく生徒一丸となって公演を盛り上げていくだろう。
宝塚歌劇は2024年に110周年を控えている。本拠地での公演再開は朗報だが、さらに満員の劇場が蘇る時が宝塚にとっても新しい日常の回復であり、その時はどんな作品の中でスターは観客を魅了してくれるだろうか。
(J-CASTニュース編集部 大宮高史)