オリンパスがデジタルカメラなどの映像事業をファンドに売却して分社化すると発表した。オリンパスは映像事業部門で「OM-D」「PEN」といったミラーレス一眼カメラやICレコーダーなどを手掛け、長年にわたり消費者に親しまれてきた。売却後も「OM-D」「PEN」などのブランドは残るようだが、カメラファンの間では惜しむ声が聞こえる。
「内視鏡カメラの会社」色強める
オリンパスは1936年からカメラの製造、販売を手掛ける名門メーカーだ。1959年には小型軽量のハーフサイズカメラ「オリンパスPEN(ペン)」を発売。1970年代には当時「世界最小・最軽量」とされた「OM-1」「OM-2」などの一眼レフカメラを発売。初代ペンやOMシリーズは人気を呼び、ニコン、キヤノンに次ぐ第三勢力の一角を占めた。
ところがスマートフォンの普及でカメラメーカーは苦境に立たされ始め、オリンパスの映像事業は2018年3月期から3期連続で赤字を計上していた。
映像事業部門の売却先は、投資会社の日本産業パートナーズが運営するファンドとなる。日本産業パートナーズはソニーのパソコン事業を買収した実績がある。
オリンパスは赤字のかさむ映像事業部門を新会社として分社化した後は、世界で約7割のシェアを占める内視鏡カメラなど主力の医療機器分野へ集中する。
同社によると、「オリンパスは1950年に世界で初めて実用的な胃カメラの試作機を開発し、世界最先端の消化器内視鏡製品を産み出し続けることで圧倒的な世界トップシェアを維持してきた」という。
人間ドックなどで胃や大腸などの内視鏡カメラの検査を受けたことがある人なら、医師が操作するカメラにオリンパスのロゴが書かれているのを見たことがあるだろう。
日本は内視鏡カメラの技術だけでなく、内視鏡カメラを使った診察や手術などの医療技術でも世界トップレベルとされる。その多くを支えるのが、顕微鏡やカメラを通じて培われたオリンパスの光学技術や電子映像技術というわけだ。