遠くない時期に衆院解散・総選挙が行われるとの観測がある中、消費税の減税を軸に野党の結集を模索する動きが出ている。早い段階から、れいわ新選組が野党共闘の条件として消費税率の5%への引き下げを掲げているほか、国民民主党の玉木雄一郎代表は7月8日の記者会見で、「野党は結集して消費税の減税で次の選挙を戦うぐらいの統一感と意気込みを見せないと勝てない」などと述べた。
ただ、7月15日の会見で玉木氏は、「野党結集のために消費減税を言っているわけではない」「まとまれるのであれば、大きな結集の旗頭にはなると思う」などとトーンダウン。「旗頭」に現実味はあるのか。
政府が減税打ち出して「後から野党が『じゃあうちも減税します』というのでは...」
共産党は税率5%への引き下げを求めているほか、日本維新の会は6月5日、消費税を当面8%に引き下げる法案を提出している。国民も新型コロナへの経済対策のひとつとして、消費減税を掲げている。
玉木氏は7月8日の記者会見で、こういった状況を念頭に
「野党は結集して消費税の減税で次の選挙を戦うぐらいの統一感と意気込みを見せないと勝てないと私は思う。だから、れいわさんが言っているからどうこうではなくて、マクロ経済政策としても消費税の減税は野党が統一して訴えるべき政策だと私は思う。維新さんも8%まで減税ということをおっしゃっているのであれば、共産党から維新さんまで一致できる政策は消費税減税だ」
などとして、消費減税を軸にした野党の結集を訴えた。さらに、政府が減税を打ち出す可能性もあるとして、それよりも早い段階で野党がまとまる必要性を強調した。
「安倍総理も消費税の減税を争点に解散・総選挙ということも十分あり得るので、政府・与党がそれを言って、後から野党が『じゃあうちも減税します』というのでは全く選挙にならないと思う」
「『選挙に勝つための条件探し』で政策や離合集散を云々しているようでは」
国民と立憲民主党は改めて合流に向けた協議を進めているが、消費税をめぐる立場で折り合えるかも焦点だ。立憲の福山哲郎幹事長は7月7日の記者会見で、れいわが野党共闘の条件として消費税率の5%への引き下げを掲げていることについて問われ、
「我々は我々の政党としての政策があるから、それは今後、今後、我々が衆院選で戦うにあたって、どう考えるかだと思う」
と話している。さらに、立憲内部からは、別の角度で玉木氏の発言への異論が。消費税廃止を訴え続けている立憲の石垣のりこ参院議員は7月10日、ツイッターで
「玉木代表のように『選挙に勝つための条件探し』で政策や離合集散を云々しているようでは有権者に愛想つかされて当然です」
などと発言を批判した。
新型コロナへの経済対策として「すでに党として決定している話」
こういった状況が影響したかは明らかではないものの、玉木氏は7月15日の記者会見で、
「野党結集のために消費減税を言っているわけではない」
とトーンダウン。消費減税の提言は、新型コロナへの経済対策として「すでに党として決定している話」だとしながら、野党結集の目的として消費減税を掲げている、との見方を否定した。
「そういったことで他の野党を含めてまとまれるのであれば、それはもちろん大きな結集の旗頭にはなると思うが、繰り返しになるが、結集のために言っているわけではなく、今の日本経済を素直に客観的に見れば、家計の減税は不可欠だと思うし、特に消費が落ち込んでいるから、ドイツや英国の例を見ても、今は消費税の減税に踏み込むべき時期だと思う」
合流協議について、玉木氏は7月15日の段階で
「中身については交渉にかかわることなので言及は避けたいと思うが、現時点においても両党の幹事長間で様々なやり取りが行われているものと承知している」
と述べるにとどめている。国民は17日に両院議員懇談会と地方組織幹部を集めた合同会議を開き、意見を集約したい考えだ。