新鋭設備への更新を進める姿勢
ただ、福島第1原発事故(2011年)に伴う全国の原発停止から10年近くがたって原発の再稼働は9基にとどまり、原子力の比率を目標の20%に高めるのに必要な30基には遠く及ばない。他方、再生エネは高コストであることもあって、22%の目標達成も容易でなく、原発の穴を埋めることを期待するのは無理がある。このため、「石炭頼みは続く可能性が高く、非効率石炭火力が多いままでは温室効果ガス削減目標が達成できない恐れがある」(大手紙経済部デスク)。
裏を返すと、石炭火力を減らすというより、新鋭設備への更新が主眼になりそうだ。梶山経産相も30年に石炭26%目標は「今の時点では変わりない」と言明し、新鋭設備への更新を進める姿勢に変化はない。
ただ、高効率といっても、古い非効率のものよりは2割程度効率がアップするが、なおLNG火力に比べればCO2排出量は多い。学者などからも「旧式廃止が石炭火力を続ける免罪符にならないか」との懸念の声が出る。
エネルギー基本計画は2021年に改定期を迎える。これに向けての議論の号砲が今回の非効率石炭火力廃止だ。梶山経産相は7月9日に洋上風力発電の拡大方針を打ち出すなど、再生エネ拡大の姿勢も示す。原発の扱い、再生エネの拡大、石炭依存の低減を含めた総合的な見直しは避けて通れない。