19年春の有料化騒動で「価値の大きさを把握」
やよい軒の「ご飯おかわり無料サービス」をめぐっては、19年4月に一部店舗で実施した「おかわりの有料化」が波紋を呼んだ。価格は30円からと低額で、料金を支払えば何回もおかわりできる仕組みだったものの、ツイッター上では有料化に抵抗感を示すユーザーが続出。タレントの伊集院光さんも、ラジオ番組で「由々しき問題」とコメントした。有料化は「テスト」だったため同年5月末で終わったが、担当者は「やよい軒による『おかわり自由』の価値の大きさを把握した」と振り返る。
今回の「出汁茶漬け」はやよい軒の特徴を生かしたサービスと言えるが、拡大にあたっては、定量のご飯を自動でよそう「ごはんおかわりロボ」の導入も並行して進める。従来は「おかわり」の際は、客がご飯をよそう形だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、3月から4月にかけて従業員がよそう形式に変更。さらに「新しい生活様式」への対応が求められる中で、接客時の接触リスクを減らすロボットの開発を決めた。今後は全店舗への導入を予定している。
既存店の前年度同月比売上高は、各地で緊急事態宣言が出されていた4月に52.8%、5月に55%と大きく低迷した。しかし、5月末に緊急事態宣言が解除され、「ごはんおかわりロボ」の導入をはじめた6月には76%まで回復。ロボット導入店は6月10日時点で40店舗だったが、7月はさらに導入店舗を増やす。担当者は「外出自粛が解除され、お客様が安心・安全に対するプライオリティー(優先順位)が高くなり、安心、安全なところで食べるというところの価値が高くなった」と分析し、「よりお客様の選択しやすいブランドになっていければ」と語った。