GoToキャンペーンの行く末
政府も旅行需要の喚起策として「GoToキャンペーン」を2020年度第1次補正予算に盛り込んでおり、新型コロナで打撃を受けた旅行業者らを支援する構えだ。総事業費が約1兆7000億円に達する巨額事業で、旅行商品を購入したり飲食店を予約したりすれば、割引などの特典が付与される仕組みだ。8月にもスタートする。
ただ、旅行業界復活に向けたこうした目論見は、感染拡大の「第2波」「第3波」が起きないことを前提にしたもの。国内の人の移動が再び活発になれば、感染者数が高止まりする東京から各地にウイルスが拡散しかねない。GoToキャンペーンを巡っては、実施時期の早急さや委託事務費の高さに対する批判もやまない。コロナを完全に終息できない中で、「感染拡大を避ける」と「経済活動を再開する」という矛盾した方向性をどうやって両立させるか。旅行業界に限らず、社会全体の重い課題だ。