れいわ新選組の山本太郎代表は2020年7月10日に党本部前で記者の取材に応じ、19年の参院選で同党公認候補だった大西つねき(恒樹)氏の「命の選別」発言を巡り、来週中に開かれる党総会で大西氏に「除籍」を提案するとした。
山本氏は大西氏について「弁明の余地はない」と厳しい口調でコメント。その一方で、即座に除籍を決めなかった理由として、自分自身も含めての「優生思想」の芽に言及した。
「私自身は除籍しかないだろうなという気持ち」
大西氏は元外資系銀行の為替ディーラーで、2019年夏の参院選(比例区)でれいわ新選組の公認候補として立候補したものの落選している。大西氏は3日、自身の動画チャンネルで「長生きする高齢者」について触れ、「命、選別しないとダメだと思いますよ。はっきり言いますけど。なんでかっていうと、その選択が政治なんですよ」「高齢の方から逝ってもらうしかないです」などと発言していた。
これを受け山本代表は7日に党の公式サイトで「立党の精神と反するもので看過することはできない」とコメント。大西氏の処分については、翌8日に公式サイト内で「党の意思決定の場である総会において行います」と伝えていた。
山本氏は10日夜、党本部前で記者陣の取材に応じた。山本氏は大西氏について「私自身は除籍しかないだろうなという気持ち」「弁明の余地はない」と厳しい表情でコメント。その一方で「私一人では(処分を)決められない」とし、来週中に開かれる党の総会で大西の「除籍」を提案する意向を示した。
「自分も切り捨てられる側にいた」
山本氏は取材直前に、れいわ新選組の公式YouTubeチャンネルの生放送で、大西氏を即座に除籍としなかった理由について触れている。山本氏は自身がまだ芸能界で活動していた際に起きた11年の福島第一原発事故を引き合いに出し、
「国は自分自身を救ってくれるだろうという考えになっていたが、実際はそうではなかった。『直ちに影響はない』という言葉を受けて、『自分も切り捨てられる側にいたのか』と感じた」
とコメント。
自分自身に「優生思想的なものも存在しているのかもしれない」「そういったもの、そういった芽がある」可能性について言及した上で「大西つねきさんの問題だけと考えるのは違う」とし、総会というプロセスを踏んで大西氏への処分を決めるとした。
山本氏は7日発表したコメントの中でも、
「多くの人々の心の中にもあるであろう何かしらかの優生思想的考えに、光が当たったことを今回はチャンスと捉え、アジャストする責任が私たちにはあると考える」
との見解を示している。