新型コロナウイルス感染拡大で減った地方の需要喚起を目的とした政府の「Go Toキャンペーン」が前倒しで始まることになったが、ネット上では疑問が噴出している。
東京都内では、2日連続で感染者が200人を突破するなど、感染再拡大の兆しを感じ取る人が多いからだ。それでも、やる意味とは一体何なのだろうか。
「感染状況を踏まえながら準備を進める」と政府は強調したが...
赤羽一嘉国交相が「Go Toキャンペーン」の実施内容を明らかにしたのは、2020年7月10日の昼前だった。
それによると、当初は8月上旬のスタートを見込んでいたが、7月22日から前倒しの形で、宿泊代金の割引から行うことになった。旅行額のうち35%を代金の割引として補助する。15%を旅行先での飲食や買い物に使えるクーポン券の発行は、9月からすることになった。
発表前日の9日に、都内の感染者が3か月ぶりに200人を超え、過去最多の224人に達していたが、赤羽氏は、「感染状況を踏まえながら準備を進める」と強調した。
ところが、10日の午後になって、都内で新たに243人の感染が判明したと報じられ、2日連続で200人を超えて過去最多を更新した。このうち、夜の街感染者が100人ほどおり、20~30代が8割を占めるなど、これまで通りの傾向も見られたが、家庭内や職場、飲み会など感染経路が多岐にわたり、経路が分からない感染者も増えているとも報じられた。
200人を突破した段階で、すでに「第2波」といえる事態になったと指摘した専門家もいる。神戸大学の岩田健太郎教授だ。
「感染対策をしっかりしないと、逆に経済活動を止めることに」
「東京は完全に第二波突入です。できれば第二波の発生は回避したかったのだが、、、」
岩田教授は7月10日の朝、前日に都内の感染者が過去最多の224人に達し、経路不明が100人を超えたとの報道を引用して、こうツイッターでこんな見方を示した。
すべての抗体検査から分かったこととして、PCR検査による陽性者数は感染者を過小評価しており、実際の感染者はかなり多いのではないかという。第2波かどうかは専門家の間でも意見が割れる可能性があるが、岩田教授は、独自の分析をした形だ。
岩田教授は、軽症者を増やせば、重症者の発生につながるとして、「感染数減少こそ大事」と指摘した。そのためには、「効果的なワクチンがない場合は、感染症を減らす方法は『感染経路の遮断』ただひとつ」だとしている。
Go Toキャンペーンの先行実施については、かなり懐疑的な見方をした。
「同調圧力で自粛のあとは、同調圧力で『みんなで渡れば怖くない』モード」と皮肉り、次のように警告した。
「経済活動を止めよ、とは主張していません。が、今より強固な感染対策は必要です。そして感染対策をしっかりしないと経済活動止める以外の選択肢がなくなりますよ」
「差し当たり今関東旅行は避けた方がいいし東京の方は外旅行は行かない方がいいと思います。本当に」
ニュースサイトのコメント欄やツイッター上などでは、「経済を立て直したいのはわかる」と政府の思惑に理解を示す向きもあったものの、感染再拡大を心配する声が次々に上がっている。
「週末を経てその倍の400名まで超えたらどうなるのか」
「首都圏の人の来訪を恐ろしく感じるのではないか。新たな摩擦が起きそうで心配だ」
「感染者が増えて地方の医療が破綻する」
「そもそもコロナ終息後って話だったのでは?」
「1日も早くコロナを収束させることが最大の経済対策だ」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)