東海汽船では、2020年7月13日からジェットフォイルの新造船「セブンアイランド結」が就航する。その内覧会が7月9日に東京・竹芝で行われた。
水中翼船の一種のジェットフォイルの新造船は、日本では25年ぶりの新造になる。既就航船の置き換えと、造船技術の継承を込めてつくられたのが、このセブンアイランド結だった。
乗り心地は「バスのよう」
セブンアイランド結は最大速力時速43ノット(約80km)、定員241人でカラーリングは美術家の野老(ところ)朝雄さんが担当した。船体の藍色には海を疾走する藍色の塊、船名の「結」には伊豆諸島の島々をつなぐというコンセプトが込められている。
ジェットフォイルは低速時には通常の船と同様に走り、加速と共に船体を浮上させて洋上では翼だけを水中に置く「翼走」で高速航行する。ゆえに実は停泊時の方が船は揺れるが、翼走時は安定しており、「バスのような乗り心地」(東海汽船船舶部門工務グループの青木貴司さん)だという。東京~伊豆大島を1時間45分で結ぶ。
東海汽船は現在セブンアイランド愛・セブンアイランド友・セブンアイランド虹・セブンアイランド大漁の4隻を運用し、セブンアイランド結は同社初の新造ジェットフォイルになる。これまでの船はいずれも他社より購入したものだった。国内ではほかに佐渡汽船・隠岐汽船・九州郵船・九州商船・種子屋久高速船・JR九州高速船がジェットフォイルを運行し、主に離島への航路に就航している。
迫るジェットフォイルの世代交代
ジェットフォイルを25年ぶりに国内で新造したのは、技術者の世代交代で「今しかできない」という事情があった。米ボーイング社が開発したジェットフォイルを日本でライセンス生産しているのは川崎重工だが、同社では1989年から95年まで15隻を建造したもののその後発注は途絶えていた。同じ時期に一斉に建造したため、船の「世代交代」がないとニーズが生じない。
前出の青木さんによれば、東海汽船がセブンアイランド結を新造したのはセブンアイランド虹の老朽化があり、川崎重工の側も技術者の高齢化でこのままではジェットフォイルの建造が途絶えてしまうと「このタイミングを逃すと後がない」危機感があったとのことだ。他社でも例えば佐渡汽船でジェットフォイル新造の検討がなされているが、建造に至ったのはセブンアイランド結1隻にとどまっている。老朽化が課題となっている日本のジェットフォイルの世代交代第1弾が漕ぎ出す。