大阪府泉佐野市は2020年7月9日、豪雨の被害を受けた熊本県に代わってふるさと納税の手続きを担う「代理寄付」を始めることを明らかにした。アマゾンギフト券や高還元率の返礼品などを理由に除外されてから1年、イレギュラーな形での制度への「復帰」となる。代理寄付に対する返礼品についてもJ-CASTニュースは市に尋ねてみた。
代理寄付は、災害時の自治体間支援の一環として、災害対応で手が回らない被災自治体に代わり、寄付金の受け付けや受領証明書の発行などを行う仕組みだ。2016年の熊本地震など過去の大災害でも同じ仕組みで被災自治体を支援する動きがあった。
制度からの除外を取り消した6月30日の最高裁判決を受け、泉佐野市がふるさと納税制度への参加が認められたことから、代理寄付もできるようになった。
代理寄付を受けても「中抜きはしません!」
ツイッター上ではさっそく、
「動きがスピーディーで素晴らしい対応」
「このアイデア凄く良い! 懐深いね?」
などと絶賛する投稿の一方、
「これで最高裁が苦言を呈した同市のやり方にシンパがあつまるわけでもない。他の自治体の利益を掠め取ったのは結果的に事実」
と疑問の声もあった。
ふるさと納税を担当する市成長戦略室の担当者はJ-CASTニュースの取材に、
「(代理寄付を受けても)中抜きはしません!」
と強調するとともに、代理寄付のためにかかる人件費や郵送費などについてもこう説明した。
「もちろん泉佐野市がまるまる負担します」
過去には代理寄付で、支援する側の自治体が、かかった人件費など諸経費を差し引いた分しか被災自治体に渡さないケースもあったが、今回の泉佐野市の対応はそういうパターンにはならないようだ。
返礼品はどうする? 「タオルくらいは...」
泉佐野市をめぐっては、制度への復帰後にどんな返礼品で寄付を集めるのか注目されている。今回の代理寄付で何を返礼品にするか、J-CASTニュースは尋ねてみた。
「残念ながら返礼品は送れません。ふるさと納税制度に復帰するにあたり、返礼品の提供には改めて総務大臣への申請が必要なのですが、申請が承認されるまでは送れないのです。せめて、市の名産品である『泉州タオル』くらいは送りたかったのですが...」
泉佐野市は2018年度にふるさと納税で全国トップの497億円を集めた実績とノウハウがある。迅速な手続きで、被災した熊本県に支援が行き渡ることが期待される。市担当者によると、7月10日にも専用サイトを立ち上げる。
ふるさと納税情報サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクによると、同じように九州の豪雨の被災自治体への代理寄付を行っているのは、7月9日昼現在で神奈川県鎌倉市、兵庫県朝来市、山梨県富士吉田市、茨城県境町、愛媛県、山形県南陽市、茨城県行方市、大阪府和泉市、鳥取県の9県市町。
ふるさとチョイスを通じた被災自治体への寄付額や7月9日14時時点で約1億5949万円あり、うち38%の約6129万円を代理寄付が占めている。