「極端な場合、テロ事件に波及することも」
そんなモスクの絵文字は、ムスリム(イスラム教徒)の間で特別に意識されているのだろうか。J-CASTニュースは、中東メディアに詳しい、日本エネルギー経済研究所中東研究センター長の保坂修司氏にも尋ねた。
「絵文字は、アラビア語でも他のアラビア文字系言語でもふつうに用いられています。アラビア語ではそのままエモジ(素直に読めば、イームージー)と呼んでいます。アラビア語のツイートなどでモスクの絵文字が用いられるのはそれほど多くはないと思いますが、実際、わたし自身、今まで意識したことはありませんでした」
としたうえで、
「それが異教徒によって性的な文脈で用いられていれば、怒る人が出るのは当然でしょうね。侮辱と取る人が出ても不思議はないと思います。また、極端な場合、テロ事件に波及することもあります」
と警鐘を鳴らす。
また、過去にイスラム教に関するものやそれに類似するものを、非イスラム教的文脈で利用し、問題となったような事例も挙げる。
「宗教に関わる文字やイラストが侮辱や冒涜になるとして、大騒ぎになったケースは多数あります。比較的古いところでは、ナイキのエアマックスのロゴだったか、靴底のパターンだったかがアラビア語で『アッラー』と読めるというのでムスリム側から抗議が出て大騒ぎになり、回収になりました」
「預言者ムハンマドの風刺画事件が、多くの死者を生むテロ事件に発展したのはご存じだと思います」
ニュースサイトSankeiBizによると、ナイキは1997年、スポーツ用シューズのロゴがアラビア語のアッラー(神)の表記に似ているとして一部製品ラインを回収した。2019年にも同社の「エアマックス270」が同じような理由でリコールを迫られた。預言者ムハンマドの風刺画事件は、ムハンマドの風刺画を載せたフランスの週刊紙「シャルリーエブド」の本社が2015年に襲撃された事件や、それに続く一連の騒動を指す。