Zeebra「音楽としては成り立たない」 「コロナ時代のラップ」その課題とは

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   ラッパーのZeebra(ジブラ)さんが、新型コロナウイルス感染対策として広がりを見せる、音楽番組の「リモート収録」や「無観客ライブ」の課題点を指摘した。

   2020年7月7日夜にライブストリーミングサイト「SUPER DOMMUNE」(スーパードミューン)で放送されたトークイベント「ライヴエンターテインメントの行方」での発言だった。

  • Zeebraさんが「コロナ時代の音楽」の課題を指摘(放送オフィシャル画像より)
    Zeebraさんが「コロナ時代の音楽」の課題を指摘(放送オフィシャル画像より)
  • Zeebraさんが「コロナ時代の音楽」の課題を指摘(放送オフィシャル画像より)

「やっぱりダメっすよね。盛り上がりに欠ける」

   Zeebraさんは日本のヒップホップシーンの草分け的存在として知られる。7月1日に放送を終了したラップバトル番組「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日系)ではオーガナイザー(主宰者)を務めた。

   この日は雑誌「WIRED」日本版元編集長の若林恵氏、現代美術家でDOMMUNE代表の宇川直宏氏らとともに「With/Afterコロナ時代の文化」についてトークを繰り広げた。Zeebraさんは「コロナ時代」の音楽パフォーマンスの難しさについて、自身がプロデュースするABEMAのヒップホップ番組「MUSIC BOMB」でのエピソードを披露。感染防止のためリモートでの「MCバトル」を試みたものの、「遅延」の問題に悩まされたと語った。

「Zoom(ウェブ会議ツール)の向こう側のラッパーにラップさせようとすると、まずその段階でズレちゃう。しょうがないから、ラッパー自身が自分のところでビートを出さなきゃいけない。(ラップ)バトルとかだと、本当は矢継ぎ早に相手とやっていくわけだから、そういう『ペース』がすごい大切じゃないですか。なのに、片っぽが(ラップを)やった後にだいぶ時間あいて、はいもう片っぽみたいな。最終的に編集でちゃんとするんですけれども、やっぱりダメっすよね。盛り上がりに欠けるというか」

   ヒップホップには複数人でラップをしあう「サイファー」というスタイルがある。Zeebraさんはこの「サイファー」をリモートで行った場合にも問題が生じる、と言及した。

「誰かが一個(ヒップホップの)ビートを鳴らしていないといけない。そのビートが、Aさんのところには0.5秒遅れ、Bさんのところには1.7秒遅れとかになってきちゃったりするんで、もう全部ずれちゃう。だから音楽としては成り立たない。残念ながら」

無観客ライブ「つまんないに決まっている」

   Zeebraさんが加えて指摘したのは、広がりを見せる「無観客ライブ」の在り方だ。最近では、サザンオールスターズが6月25日に横浜アリーナで行った無観客ライブが話題に。同25日の日経電子版の報道によれば、推定約50万人の総視聴者数を動員したとしている。一方で、Zeebraさんは「演奏者」の立場から、無観客ライブの課題点を以下のように指摘した。

「お客さんが全くいない前でやるわけですよ。つまんないに決まっているわけですよ。普段だったらお客さんの表情を見たり、ぴょんぴょん飛び跳ねたり、声上げたり反応するのを見て、こっちも盛り上がっていたりするのに、(無観客だと)それがゼロなわけじゃないですか。分かりやすく言ったら、MCバトルなんか、(ラッパーが)なんかすごいこと言って(場が)バァーっと盛り上がるから、またさらにアドレナリン上がって、凄いことが言えるようになったりする」

   Zeebraさんは「ライブをする側、演奏する側の『体験度』をもう少し上げていくべき」と語り、具体的に「ライブハウスの客席に3Dマッピングでアバターを映す」ことを提案。「アバターがぴょんぴょん飛び跳ねている様子が見えるわけで、それでやれたら全然違いますよ」と語った。

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