「情報製造小売業」の推進
また、ユニクロのこれからを占うポイントとして、Life Wearとデジタル化を挙げる声がある。
「在宅勤務の広がりによって、ファッション性が高い服のニーズは落ちる」との指摘がアパレル業界内で出ている。一方でユニクロの代名詞ともいえる機能性に優れた普段着がLife Wearで、これを基軸に据えた銀座の新店について、柳井氏が「我々の考え方が世界の中心になる。この店から2020年代の世界のアパレル小売業を変えたい」と自信を示している。
デジタル化は、ファストリが掲げる「情報製造小売業」の推進だ。同じ製品を大量に安く作る「製造小売業」(SPA)は、消費者の好みの多様化で売れ残りの発生などのリスクが高まっている。そこで、販売情報をAI(人工頭脳)などのデジタル技術を駆使して分析し、必要なものを必要なだけ、迅速に作る情報製造小売業への進化が必要というのだ。その究極の姿は「無駄なものをつくらない、無駄なものを運ばない、無駄なものを売らない」だとされる。最適な生産体制ということでは、コロナ禍で浮き彫りになった中国集中などサプライチェーンの偏りの修正も視野に入れる。
もちろん、国内外でコロナ感染の第2波、第3波の懸念は消えず、UNIQLO TOKYOなどの実績も見なければならないが、日本経済の期待を背負う世界企業だけにコロナを機にもう一段の進化を遂げるか、注目される。