東京都知事選は2020年7月5日に投開票され、現職・小池百合子氏の当選が確実となった。
有力候補の一人とされていた、れいわ新選組公認の山本太郎氏は東京・新宿区の開票センターで会見を行い、穏やかな表情で敗戦の弁を語った。
「銭湯に描いてある山みたいに見えたが...」
山本氏は6月15日に立候補を表明。公約には総額15兆円の「コロナ損失」対策として「全都民への10万円給付」や「中小企業・個人事業主の事業収入のマイナス分保障」などを掲げていた。選挙期間中は立憲民主党に離党届を出した須藤元気氏とともに都内各地で演説し、連日多くの聴衆を集めた。
支持者からの期待が高まっていた中、NHKは20時に小池氏の「当確」を伝えた。また出口調査では、山本氏の順位は立憲民主党支援の宇都宮健児氏、日本維新の会推薦で前熊本県副知事の小野泰輔氏に次ぐ4番手に。特に、同じリベラル層から支持を集める宇都宮氏には差をつけられる結果となった。
山本氏は20時20分頃に記者陣が集まる会場に入場。席に着いた山本氏は開口一番「お疲れ様でした。ありがとうございます。いや〜、強かった百合子山。高かった〜、百合子山。という感想です」と述べた。「百合子山」の高さについて、選挙前と後の印象の違いを記者から問われると、「銭湯に描いてある山みたいに見えたが、実際はかなり険しい山ですね、百合子山」と笑顔で語った。
テレビで公開討論会行われず「何かしらの意思を感じる」
精力的な街頭演説を行った山本氏とは対照的に、街頭での選挙活動を一切しなかった小池氏が再選確実となった。コロナ禍での選挙活動について記者から問われると、「そもそも論ですけども、コロナ禍において選挙を行うということ自体に無理がある、という前提がある。各陣営、苦労されたと思いますし、私たちもゲリラ街宣がほとんどを占める形になった」と語った。
その一方で「小池さんはこれまでもメディアにはずっと取り上げられ続けている状態で、選挙戦に入っても一定のメディア露出があった。大きな差を生んで当然であろうなと思います」とメディアでの取り上げられ方の違いを指摘した。特に、テレビでの公開討論会が行われなかったことを疑問視。
「コロナ禍においての選挙で一番現実的なものを考えるならば、テレビなどでの討論会。前回選挙では各局やってましたけど、今回一局もやらないということに、何かしらの『意思』、強固な『意思』を感じる」
と語った。
「密です密です、そこ」
山本氏が会場に入場する前には、会場外にいたボランティアスタッフによる拍手が聞かれた。山本氏は選挙戦を支えたボランティアに対して「足を向けて寝られない」という言葉をかけたと話す。
「コロナ禍において、厳しい状態に置かれていた人たちがボランティアに加わってくれた。当事者として、首がしまっている方が実際に応援に来てくれている。それを思うと(今回の結果は)申し訳ないという気持ちでいっぱいです」
と神妙な面持ちで語った。
会見の最後には、れいわ新選組の公式YouTubeチャンネルの視聴者に対するメッセージを送った。「(都知事になって)多くの方々の苦しみに寄り添えるような底上げをしていきたかった。救いたかった」と思いを吐露すると、山本氏は感極まって涙ぐんだ。
報道陣が一斉にフラッシュをたくと「ちょっと出てもらいましょうか、マスコミのみなさん。これはもう僕とれいわ新選組に託してくれた人たちとの間の話にしたいんで」と語り、カメラを構える報道陣に対しては「密です密です、そこ」と笑いながら注意していた。