東京都内の新型コロナウイルス感染者が連日100人を超え、「第2波が来たのか」などとネット上でも心配の声が上がっている。
夜の街感染から家庭内などへ「混合型」も増えている、とも報じられている。都内の現状や課題について、東京都医師会の尾崎治夫会長に話を聞いた。
「第2波というより、第1波の再燃と言う方が近い」
尾崎会長は、感染拡大が進んだ2020年3月26日、「東京都医師会長から都民の方にお願い」とのタイトルでフェイスブックを更新し、東京に差し迫った危機を訴え、拡大防止への協力を求めて、大きな反響を呼んだ。
その後も、機会を捉えて発信を続けている。7月2日、2か月ぶりに都内で100人超の感染者が出ると、その日にフェイスブックに長文のメッセージを付け加えた。こちらも、コメントの書き込みなどが相次ぎ、反響を集めている。
3日も124人もの感染者が出たことで、第2波が来た可能性はあるのだろうか。この点について、尾崎会長は同日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「大きな波の後に、例えば、小さな波が2つ来て、第2波となる大きな波が来ることがあります。大きな波があるとすれば冬だと考えていますので、今回は、小さな波ではないでしょうか。大阪とは違って感染者ゼロの日が続くことはなく、新宿・歌舞伎町のホストクラブなどでくすぶっていましたので、第1波の再燃と言う方が近いかもしれませんね」
尾崎会長は、また波が来た理由について、ホストクラブなど接待を伴う飲食店の一部が、政府の緊急事態宣言後に休業要請を受けながらも、陰で営業を続けていたことが大きいと見ている。
「ホストクラブにキャバ嬢が行くなどして閉鎖空間で感染し、こうした店への休業要請が6月19日に解除された後は、一見の客の呼び込みも始まって、その客が飲み会をやるなどして感染が広がりつつあります」
「法的拘束力を持たせないと意味がありません」
また、尾崎会長は、感染者が増えた理由の1つには、PCR検査の件数が増えたことも挙げた。「以前は、1日300件ぐらいだったのが、今は2000件ぐらいできます。無症状の人も拾い上げていますので、第1波のときの感染者100人超えとは事情が違いますね」。
とはいえ、今回も、政府による対策を求める声は強く、ヤフー・ニュースの「みんなの意見」が「緊急事態宣言、再発令は必要だと思う?」とのタイトルで7月2日から調査を求めたところ、3日20時現在で約20万もの投票があり、賛成の「思う」が8割強も占めている。
これに対し、尾崎会長は、宣言を出して広く活動を制限することはあまり考えなくていいと指摘する。
「宣言を解除して、通勤や人通りもかなり増えましたが、マスクをして話をしない空間では感染していません。ウイルスは、唾液にたくさん含まれており、発症前後の感染力は高いのですが、電車の中で移ったという事例はないです。食事やお酒などの機会で、マスクを外して長くしゃべったり大声を出したりして感染するとはっきりしています。通勤や仕事をストップするのではなく、夜の街感染をどうにかする方が大事でしょうね」
また、接待を伴う飲食店などにターゲットを絞って宣言を出したとしても、現状では効果が期待できないともした。
「休業要請をしたとして、闇営業するところもあるので無力ですね。休業補償をする一方で、法的拘束力を持たせないと意味がありません。国がそこまで法整備をするかどうか。それなら、ターゲットを絞って自粛するしかありませんね。歌舞伎町などで攻めのPCR検査をして、白黒をはっきりさせて営業してもらったり、ガイドラインを守っているところにステッカー表示をしてもらったりして、そのような店が揃うまで若い人たちに行かないように呼びかけたらいい。感染元を何とかしないといけないと思います」
尾崎会長のフェイスブック投稿では、10日間で感染者の隔離が解除されることを3回繰り返すという計算で、夜の街に行くことを1か月我慢することを呼びかけている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)