コロナ、熱中症、プール熱...「緊急時対応」にもリスク
また、実際のプールでの指導でも、やはり生徒間の距離が密になる恐れがあるようだ。北区の教育指導課の担当者は「特に小学校においては複数のクラスや学年の合同で授業を行うことがほとんどですが、そうなると文科省が提案するような2mの間隔を空けることはできません」と説明する。続けて、「緊急事態時の対応」についてもリスクが伴うと語った。
「例えばプール中に倒れる児童が出た場合、それがコロナなのか熱中症なのか、プール熱というのもありますが、教員が症状を見分けることができない。そうなると、溺れたりした際に、人工呼吸を行ってもよいのかという判断もうまくつかないんですね。また、救急車を呼ぶことになると思うのですが、今度は搬送先の問題があります。病状が分からなければ、コロナに対応している病院に搬送すればいいのか、そうでないのかについても判断がつかない。こういった緊急事態対応の難しさについて医師会も指摘しているため、プールは中止としております」
板橋区の担当者は基本的に水泳指導を実施しないとしている。一方で、児童生徒の人数が少ない一部の学校では9月中に健康診断が完了し得るところがあり、そうなると水泳指導が行われる可能性が存在すると説明した。また、江戸川区の指導主事の担当者は「水泳の心得については教える」としている。
渋谷区については前述の通り、教育指導課の担当者が「各小中学校の学校長が判断する」と説明した。