ふるさと納税制度から除外された大阪府泉佐野市と和歌山県高野町、佐賀県みやき町の3市町が、1年超のブランクを経て復帰することになった。
アマゾンギフト券などの金券や40~50%の高還元率の返礼品でも人気を博した3市町。復帰後にどんな「お得」な返礼品で攻めてくるか、注目だ。
「泉佐野市のふるさと納税が改めて楽しみ!」
再参加が認められた2020年7月3日、3市町村の首長は記者会見をしたりウェブサイトにコメントを載せたりして、歓迎の意向を表明した。
泉佐野市の千代松大耕市長「大変うれしく思うとともに少し驚いているところです。準備が整いしだいできる限り早くふるさと納税の受付を再開したいと思います」(市ウェブサイト掲載のコメントから)
高野町の平野嘉也町長「感謝をしたい。これから返礼品として、高野山にお越しいただける旅行券などを用意し、8月初旬から中旬に受け付けを始めたいと考えている」(町の広報担当者を通じて取材)
みやき町の末安伸之町長「率直にありがたい」(7月3日、サガテレビのウェブサイトから)
3市町は、過去に高額な返礼品で多額の寄付を集めていたことなどを理由に制度から除外された19年6月以降、ふるさと納税を受け付けるサイトも事実上閉鎖していた。早ければ週明け7月6日にも、寄付を受け付けられるようになる。
ツイッター上ではさっそく、
「参加も容認されて泉佐野市のふるさと納税が改めて楽しみ!」
といった声の一方で、
「また無茶苦茶な事やるんだろうな・・・」
といった投稿があった。
金券や家電の復活は? 泉佐野市長の発言から探る
しかし、以前のようなアマゾンギフト券など換金性の高い金券や高額な家電などの再登場は望めるのか。泉佐野市の千代松市長は6月30日、ふるさと納税制度からの除外が違法と認めた最高裁判決を受けて、市のサイトに掲載したコメントの中で次のように述べている。
「今後、本市がふるさと納税制度に復帰することができたなら、しっかりと法令を遵守し、全国の地方自治体と協力して、よりよいふるさと納税にしていくためにあらゆる努力をしていきたいと考えております」
「法令順守」という言葉から、改正税法制で禁止された還元率(経費率)30%を超えた返礼品を取りそろえることは、もうやらないのだろう。一方で千代松市長は最高裁判決の前に応じた朝日新聞の単独インタビュー(6月29日配信)で、ルールを守るとしつつも、含みのある言葉で語っていた。
「新型コロナウイルスの影響で市内の宿泊、観光事業者がダメージを受けた。観光客に来訪してもらえるような返礼品を充実させたい。(ルール変更で)ふるさと納税の三種の神器(肉、カニ、米)がなくなっても日本一の寄付を集めて培ったノウハウがある。抜かりなく準備している」
バナナ味のクラフトビールが返礼品に みやき町が準備中
他の2町はどうか。
かつてはiPadやハーゲンダッツ商品券などを返礼品として提供していたみやき町。九州のブロック紙・西日本新聞は19年12月17日配信の記事で、みやき町設立の一般社団法人「ふるさと振興協会」が、町産のホップを使ったクラフトビール2商品を売り出したと報じた。その上で、試飲した末安町長の「町の特産品として育て、来年の返礼品に活用する」というコメントを紹介している。
ちなみに、クラフトビール2商品のうちの一つは、皮ごと食べられるバナナの「神バナナ」を使用。同じ記事では、「バナナの芳醇(ほうじゅん)な味わいや香りが際立つ」と紹介されている。
還元率が最大50%の旅行券で多額の寄付を集めた高野町。日本仏教の聖地の一つで世界遺産にも登録されている高野山があり、従来から訪れる観光客が多かった町だ。一部のふるさと納税サイトでは、精進料理が食べられる食事券や、寺や温泉宿に泊まれる宿泊券などが返礼品に並べられるのでは、と予想している。
ただし、2町とも今は「法令遵守」をうたっており、泉佐野市と同様に、還元率は30%以内に抑えることになりそうだ。