バラエティ番組「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)で、スマートフォン紛失時の悪用防止策として紹介された「SIMカードロック」が波紋を呼んでいる。
その手法は「PINコード」と呼ばれる暗証番号を設定するものだが、設定時にコードの誤入力を続けるとSIMカードが使えなくなるリスクがあり、ツイッター上では実際に使えなくなってしまった、という報告も相次いだ。日テレの番組サイトは後日、「分かりづらい点がありました」と補足説明を行った。
ツイッターで「PINロック」報告相次ぐ
2020年6月27日放送の「世界一受けたい授業」では、元埼玉県警捜査一課で「刑事コメンテーター」の佐々木成三氏が「デジタル犯罪から身を守る方法」を解説。その中で「スマホを落としたとき、悪用されないためにした方がいいこと」として「SIMカードロック」の手法が紹介された。具体的には、スマートフォンの設定画面からSIMカードのロックをオンにし、キャリアごとに決められている「PINコード」の初期設定番号を任意の暗証番号に変更することで、SIMカードの悪用を防げるというものだ。
このPINコード変更時には、キャリアが決めた初期設定番号の入力を求められる。ソフトバンクなら「9999」、NTTドコモなら「0000」、auなら「1234」だ。しかし、ここでPINコードの入力を3回間違えるとSIMカードが使えない「PINロック」状態になり、ロックを解除するための「PUKコード」(8桁の番号で、確認方法はキャリアにより異なる)が必要となる。さらに「PUKコード」の入力を10回間違えればPINコードを解除することが不可能になり、ショップでSIMカードを再発行する必要が出てくる。こうしたリスクについては、番組では伝えられなかった。
番組放送後、自身のスマートフォンで「SIMカードロック」を試したとみられるツイッターユーザーからは、「テレビ見てSIMいじってたらロックされちゃって凹んだ」「パスワード間違えてSIMカードにロックかかって死ぬかと思った」と、PINコード設定時の誤入力で「PINロック」状態になってしまったというツイートが相次いだ。
PINコードの設定「積極的に推奨することはしていない」
そして、番組放送の翌日には携帯ショップの従業員を名乗るツイッターユーザーから、
「本当にPINロックの人来て爆笑してしまった」
「店来たらPINロック解除の人でめっちゃ待ちの人居た」
というツイートも見受けられた。
J-CASTニュースは6月29日~30日にかけて携帯キャリア大手3社の広報担当者に取材し、番組放送後に「PINコード」に関する問い合わせが増えたかを聞いた。すると、ソフトバンクとKDDIの2社が、27日の放送から翌日(28日)にかけて、PINコードに関する問い合わせが増えたとした。なお、NTTドコモは「非公表」だった。
また、PINコードの設定をスマホ紛失時の悪用対策として推奨しているかを聞くと、KDDIは「積極的に推奨することはしていない」、ソフトバンクは「『絶対に推奨します』というのはない」、NTTドコモは「設定するかどうかはお客様の判断による」と回答。スマホの紛失対策には、各社が展開するサポートサービスなどを利活用してほしいとした。
日本テレビ「手順を確認出来ない場合は、操作を控えて頂くよう...」
放送後にツイッターなどで混乱の報告などが出る中、日本テレビは6月29日夜に「世界一受けたい授業」の公式サイトを更新。番組で触れなかった「SIMカードロック」のリスクについて、
「6月27日の放送で、デジタル犯罪対策の1つとしてご紹介した『スマートフォンのSIMカードロック』の説明に関して分かりづらい点がありました。ご紹介した方法には携帯電話会社ごとに異なる操作がありますので、手順を確認出来ない場合は、操作を控えて頂くようお願い申し上げます。誤ったPINコードを入力し続けるとSIMカードにロックがかかり、一時的に使用出来なくなるおそれがあります」
と説明した。