国際チェス連盟が定めるルールの第1条2項によれば、チェスでは明るい色の駒(白)が先攻で、暗い駒(黒)が後攻となる。
オーストラリアのラジオ局がこのルールと人種差別を関連付けようとした、と取材を受けた人物がツイートして海外で話題となっている。
「黒が先攻を取る碁を取り上げたらどうだ」
きっかけは、オーストラリアチェス連盟(ACF)の元代表で経済学者のジョン・アダムス氏の2020年6月23日のツイート。豪州の公共放送・ABCラジオシドニーのプロデューサーからチェスのルールについて電話がかかってきたという(翻訳は全て編集部)。
「ABCシドニーを拠点とするプロデューサーから、チェスのゲームについてコメントを求める電話がかかってきた!ABCラジオは『白が常に先攻であることを考えるとチェスは人種差別主義だ』という見方をしている!ルール改訂を行うべきかどうか、チェス関係者のコメントを求めている」
このツイートは400件ほどのリツイートを集めた。
チェスの元世界チャンピオンのガルリ・カスパロフ氏は24日にABCラジオを批判し、
「チェスが人種差別主義だと案じるなら、州の放送局として税金を無駄にして『調査』を行う代わりに、黒が先攻を取る碁を取り上げたらどうだ」
とツイートした。こちらは1000件近くリツイートされている。
シドニーの新聞・デイリーテレグラフによると、その後この「チェスは人種差別的かどうか」というトピックはABCラジオの24日放送の番組で取り上げられたとしている。司会のバレンタイン氏は、アダムス氏について「チェスが差別的なのか取材をする意図はなく、話し合いをしたかった」と説明。その後、ACF副代表のケビン・ボーナム氏に「なぜチェスの駒はあのような色なのか」と番組の中で質問したが、ボーナム氏は駒の色付けに人種的な意味合いがあるという証拠は存在しないと返答したという。番組の公式サイトで公開されているアーカイブは29日現在視聴できない。