欠点は乗降時
それでは2階建て一般客車・電車が「欠点なし」と言われるとそうではない。ヨーロッパの2階建て車両のドアは各車両2ドアしかなく、2階建てという構造も相まって、ターミナル駅では乗降に時間を要する。この「乗降に時間を要する」が2階建て車両の最大の欠点なのだ。ヨーロッパは都市の成り立ちが日本と異なり駅間距離も長いことから、多少の乗降時間なら問題ないのだろう。
首都圏でも1990年代にオール2階建て通勤電車が導入され、東海道本線の快速列車などに投入された。しかし乗降に時間を要するという構造的な理由から、現在では主に行楽向けの臨時列車に使われている。
このように首都圏や関西圏をはじめとする大都市圏では2階建て車両の本格導入は難しいように思われる。
(フリーライター 新田浩之)