「良い意味で『人生変わった』と思っています」
入院中は意識がない中で、一度自分につながれているチューブを噛みちぎったと後から知った。歯が折れ、体重も8キロ減少。体力も落ちたが、ウォーキングなどのトレーニングをはじめ、元に戻りつつある。
「スタッフや講師の方々の専門性をもっと生かしていかないといけない。そして自分を支えてくれる方々への感謝をもっと表現したい。感謝はずっとしていましたが、言葉にして伝えていかないといけないと強く感じました」
1か月の延期を経て、日本営業大学は5月に無事開学を果たした。「まずは私たちを信じて未来を預けに来てくれた1期生を送り出すことに全力を尽くします」という中田氏。本部を置く大阪校と東京校の2校から始まった日本営業大学だが、目標は大きい。
「受講生を育てていく中で徐々にスキームを洗練させ、札幌や沖縄にも拡大したいと考えています。最終的には海外展開していきたい。アスリートのセカンドキャリアの課題はアジアの国に多いんです。逆に欧米では少ない。ヨーロッパは公務員制度などが支えており、米国ではNCAA(全米大学体育協会)が大学時代にデュアルキャリアを歩ませる仕組みをつくっているのですが、アジアではこうした制度がなかなかありません」
当座のメルクマールとしている東京五輪は、21年へと延期することが決まっている。「延期後の東京五輪の開催可否は10月に評価が下るとされています。もし仮に中止となった場合、ものすごい数の『アスリート難民』が出てくる可能性があります。それまでに、なんとか受け皿として形を作っておかないといけません。それが当面の課題です」と中田氏は言う。
最後に、「新型コロナウイルスの影響で人生が変わったと思うか」と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「私は良い意味で『人生変わった』と思っています。事業に確信を持て、覚悟が決まりました。周りに対する見方も変わりました。全部私が頑張って引っ張っていかないといけないと思っていたけど、そんなことはなかった。アスリートのために、社会のために、できることはまだまだある。そう信じて進んでいきます」
(J-CASTニュース編集部 青木正典)
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